バースデーケーキも感情もぜんぶ飲み込んだまま越える境界
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四人分 子鯉泳ぐ 角の家 君らの幸を 私も祈る
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5時に起きシャワーを浴びてもまだ6時ここは楽園ワンルーム楽園
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半年が経っても心から消えないよこれはアレだねもはやアレだね
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この時間に起きてて絶望せずに済む三連休の醍醐味はこれ
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はるきても 幸福感が ないのだが 感がないのか こうふくないか
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幸せな妄想抱え倒れ込み汚泥のような眠りについた
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予定なき誕生日には初めてのジョギングウェア決意新たに
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小麦粉を銀のボウルにふるう時の静かな心が好きと思う
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誠実にさくらは月に触れたがる黄砂と絡み花びらは散る
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アヒルの子は美しい鳥になったのに私は今もみにくいままだ
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お別れをしようと告げたこの口が やり直そうの言葉をつぐむ
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小夜ふけて歌集をめくる指を止め 手編みの薔薇の栞を挟む
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日曜のデカダンな夜カップ麺喰み動画を眺め明日を無視する
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蝉、廊下、うわばき、プール、半袖のシャツ、向日葵、入道雲、恋し
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水族館、晴れの日の散歩、スカイツリー、君との思い出。 青は嫌いだ。
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孤独より背中のチャック上げること出来ずにもがく日が来る怖さ
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嬉しきは ウタカタ開き 二つ三つ うたともからの 良いね見つ朝
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なにもない空に押し潰されてゆくとても静かで風すらもなく
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ペガスス座、ペルセウス座の頁にはペンギンたちのペイントを描く
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ご無沙汰でこんな顔してましたっけ?マスク外してスタバで再会
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そっと手を あなたの茂みに ふれさせて昔の情事を なつかしむわれ
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長電話終わる組み立て家具のネジ一本だけ残っている朝
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山裾の花の盛るに耐へかねて峰のさきへと逃げる白雪
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月面に打ちつけられて真空を旅しつづける科学の子らよ
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今日四月八十日と母の言うぼけるのじゃなくほうけてるのだ
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私には 常に薬の様な人 いつもいつまでも 母は母なりて
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薔薇のとげツバつけ鼻にくっつけて ちびっ子天狗が園庭走る
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なんとなく選び進んで来た道も 全ての選択に意味があるんだ
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もう一度 ひ孫二人に 会いたいと 初めて聞いた 母のわがまま
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