貧相な見てくれだった木蓮は今純白のドレスを纏う
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尖らせた鉛筆を突き立てるべき肉体がまだあるんだよなあ
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時計おん チクタクチクタク 鳴る秒針 それは時に 時には残酷
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釜にただひと口残る米を見て決めてしまった、この家を去る
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25° エゴの中にある優しさはカタルシスとし雲居に隠す
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濃厚な接吻の後『終わったら連絡するね』と君が微笑む
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なつかしく滅びの香る風のこと想う古着のほつれほどけば
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春というこころはこわれ梅雨入りの 渚へ海へ 声へ祈りへ
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チャリンチャリンと夏風の催促 鬱ふさいでも聞こえたせまる四季の音
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諦められた一円ひろって得だと思えるコスパで明日も
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さよならとまたねの間にあるすきを教える前に桜が散った
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旋盤工募集のポスター色あせて雨のにほひの京浜蒲田
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自転車のかごに置かれる霧雨でさされた赤い折りたたみ傘
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呪文まで覚えて唄い散らしても君の気を引けなくて、心は
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わたしいがいわたしじゃないしわたしなどどこにもないと知れば夜空よ
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いつだって詩を書けますと答えてる世界の果てに獣が残る
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ひともとの桜の花弁より多き想いをわたし抱えています
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死に向かう君を見ることしかできぬ我 風はなぜ桜を散らす
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薄紅のひとひらがまた地に落ちる自分の余命知っている人
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ひとひらとまたひとひらと地に落ちてうすくれなゐの海になりゆく
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今までに櫻はなにを見てきたか どれほどの生どれほどの死を
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幾度も数多の生を産んできた櫻よなにを思っているの
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櫻木は偉大なる母その身体ひとつで億の命を咲かす
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飛び方を知らないんじゃなくて君は飛ぶのが怖いだけなんでしょう?
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このカップ我の番になる人に使ってほしい たとえば君に
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二次元の海に溺れて喘ぐ我 平穏という言葉を知らず
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ああそこに立たないでくれ 観念を、象徴だけを壊させてくれ
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五を二つ七を三つで爆速の愛を叫んだデタラメなポーズ
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「久しぶり、元気ですか?」のひとことを送る勇気を誰かください
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存在全部で加速したら未来、宇宙さえ遠いよ 生きていけ
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