はるか地のはてに光りの溜まりあればやがて死海と名つけたまへり
4
頼ること よりかかること 恥じゃない みんな待ってる 君の勇気を
0
ありがとう 君の笑顔に 何回も 助けられたよ 幸せな僕
0
身にあたる闇夜をはらふともしびは塵も焦がるる洗礼者ヨハネ
1
すれ違い 思い通わず 泣いた日々 あの日があって 今は幸せ
0
夢に見し人はかげらう梔子の色がにこりと微笑わら
0
明け方のふとんにねむるふたひらの耳があつめてゐる雨の音
6
海と河の混じるあたりをふたりして見てをり恋の終はりのやうに
2
理科室の記憶さやかにアルコールランプが照らしてゐる夜の底
2
さやうならとほりすがりのこの庭の白い躑躅の蜜を吸ふくち
3
こぽこぽとあなたのゐないまひるまの部屋に充たされゆく茉莉花茶
2
あはれあはれさくら散りゆくさびしさをあなたのとほい思想のやうに
3
さくらばな 少女が老女となるまでの時を思つて繰る一頁
3
わたくしのからだはうつは まみふかく閉ぢこめてゐるさくらを思ふ
1
ぼくたちは溶け合っていたシロップに漬けた苺を分け合うだけで
3
いつまでも眠りのなかにゐるやうな椅子をしばらくひだまりに置く
4
コンビニのビニール傘に受けてゐる雨あたたかく春がきてゐる
4
空耳は空のことばと思ふ日にまなぶたふかく閉ぢてあふむく
1
ばらばらの色えんぴつをもう一度虹の順序でならべはじめる
3
つまづいたのではないのだ。すこしだけ地球に呼びとめられてゐたのだ。
1
流星のやうにするりと抜けてゆく猫のしつぽの描く残像
2
さやうならさやうならつて輪唱のやうに散りゆくさくらはなびら
3
夜明けまで、海まで、もつと深くまで とほい街では雪虫がとぶ
1
紙飛行機をつくるつもりで間違へてできてしまつた流星でせう
1
夜にしか見えないものが欲しくなるたとへばゆめやあなたのまぶた
2
果てた後ゆるい西陽に撫でられて微睡む君がうつくしく泣く
0
何回ももう何回もくしゃみする 君が私の噂をしてる?
0
城壁を這ふ滿開の蔓薔薇と朝鮮薊L’artichautの搖るる中庭
4
銃聲は聖天使城に谺して羅馬の露と消えし大元帥Connétable
0
皇帝の出す勅令に抗ひて「プロテスタント」此處に生まるる
0