曲線の石の階段 ひんやりと 塵の舞う間に 浮かぶ光線
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きみだよね電車の通過するあいだ向こうホームにちらついたのは
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地獄でも天国もなし落魄はきみひとり成るただひとりでに
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春の夜に使い古したストーヴよ まだもう少し石油尽きるまで
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白赤緑糸を紡ぐ 慈愛憎悪あなたへの感情を紡ぐ
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澄み切った空の季節よさようならオリオン西にかしいで淡く
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友と逢ひ 学生時代 時戻り 記憶を集め 笑い転げる
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ようやっとベースの音が聴こえだすフォークのような春の訪れ
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雪解けてチャリも走れる小春日和の額に受ける風がやさしい
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酔いどれのたわむれなんかじゃないのにきみを抱きしめる確信犯
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高鳴ったあたしの胸もしらないで手紙と一緒にここを発ちなよ
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沈丁花 記憶の鍵を開ける花 まだマシだった少年の私
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19℃やっと見つけた沈丁花 
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これきっと喜ぶだろなと頬緩め桜餅を2個買う陽気
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早咲きの 桜の蜜を ついばみに メジロがとまり 枝を行き来し
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単純と 統べるミルク 珈琲に 交わる速度 震える温度
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少しでも その顔を目に 焼き付けたい 五秒すら目を 合わせられない
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指を立て、金の指輪に 光当て、覗いてみれば、セピアが広がる。
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出してくれ 君への気持ちが 強くたた扣く ひか扣えんとして つぐんだ口を
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批判され 注意されても 穏やかに 聞き流すから 進歩もないが
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苛立たず 穏やかにして 微笑みて 他人の話に 耳を傾け
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ガチガチの 教条主義に 抵抗し 自由と愛を ひたすら求む
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自由とは こんなに高い ものなのか 力なければ 金も離れる
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逃げ出すか 抵抗するか 権力と 支配を好む 強き者から
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そうだった 自由を求め 生きてきた 他人に自分を 支配させない
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どこにでも パワハラ爺 婆いて こそこそ逃げる そんな人生
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もう「俺」と久しく言ってないことに気づいたひとりあぐらかく夜
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行動は 支配させても 心まで 好きにさせない 人権だから
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生活がドミノみたいにパタパタと倒れる音がした午前二時
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ガチガチの 頭の固い 婆さんに 逆らう無駄な 努力は放棄
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