読みきれぬほどにメールはくるけれど一番ほしい君からこない
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熱狂の抜けぬまま乗る満員電車 お気に入りのユニフォームと一緒
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街道沿い 山中腹やまちゅうふくに海を見し墓は立つなり船守るごと
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やせいって ニャンだったっけ それおいしい? ねこは寝こけて おくちもあいてる
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音も無く陽炎かげろうゆれる濃い桃の百日紅さるすべり咲く 誰も居ぬ午後
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今の俺 替玉なしで足るを知る 昔は見栄みばを思はざりけり
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容赦なき群青 二の腕まで褐色の ポニーテールのライフセーバー
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初恋の当時はレモンの苦さだけ 今、過ぎてく日々が甘く美化する
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天も身も地続きなのに暦だけ区切られ、六月 乾きを引き摺る
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曖昧な言い方されてもどかしく令和だけれど心は昭和
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立ち枯れの枝葉に芽吹く翠翅諸声染みて夏かさね着る
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家の前紙飛行機を飛ばす君ささやかな一時夏の1ページ
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ねこのまゆげ かわいいだけじゃないんだよ めをまもったり だいじなやくわり
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爽やかなハーブの入ったマスタード 夏の朝パン 相応しきかな(フランスパンとウインナー)
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手で書いた「排水禁止」に色を塗るこんな事でも少し楽しい /排水菅更新工事
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理想を押し付けたりとかしないから ほら笑ってよ 私のために
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寝る前の 千夜一夜を 過ごしたい 枕元置く 夢物語
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「暑くても食べらさるしょ」の祖父の字と富良野メロンのあたたかき涼
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新年を迎えていないカレンダー。 友が笑って光る紫陽花。
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なにゆえに歌わざりけり反核を広島グリーの青春の殻 / 男声合唱団と広島を思う
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窓開けた瞬間熱々蝉シャワー浴びてたちまち夏にびしょ濡れ
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お祈りメール 合わせられた手に中指
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生活が重なる瞬間 音だけの花火に足をとめる人々
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「胃の中に、緋色の蛙飼ってます」「俺の哀しみ、呑み込んでくれ」
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行き違う 二人の心 重なりて 闇夜を包む 夏の星雲
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水風船/見張り番 おれたちだけがスーツを着て 夏の暑さを待ち構える
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人生は戦いと言えばそう生きて 美しいと言えばそう生きていく
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シャワーでも酒でも洗い流せない冷めた衝動溜まる空っぽ
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わたくしを毎回泣かす玉ねぎを戦闘モードでみじん切りする/題『切』
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この手紙最後だとしてもまた食べてしまうのだろう黒ヤギさんは/題『だとしても』
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