毎日の挨拶ふいにウィンクで返され跳ねる若き心臓
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夜桜をでて堤の宵闇の孤高に照らす十三夜の月
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真青なる空に乾杯白木蓮 真白なこころ天に献じる
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両手上げ追ふ瞳にもしゃぼん玉 をさな子のいだく今ある夢よ
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薄皮一枚とブランドの革どう違うの諭吉はぢつとこちらを見つめる
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革命の流星群の降る夜におんなはあるくわたしははだか
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なまぐさきなしし世界もしなれどなれど短歌よ血とあらまほし
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いざさらばヴァイオリン弾く君のよ『ヴ』なき世界に君らはらじ
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帰宅する頃に空調入れておいた家主不在の部屋は快適
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空虚さに君に貰った微笑を埋けた花瓶に水銀垂らす
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夕暮れと貴方と暮らす公団と牛乳パックで泳ぐ鼠
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世界から「ヴ」が消えるらしい いつの日かこの関係も「LOVE」ではなくなる
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にんじんとキャベツが甘く彩って 卵は全て優しく包む
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不安げに段ボール抱え街を往くあの子が運んできたものは春
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ひとひらの永劫回帰の終古にて潮に寂びたる海を抱かむ花の夜はながめせしまにいたづらに染まるともなく散るを惜しまず
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冥府よりメールマガジンとどくゆめオルフェの琴にねむる番犬
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花の夜はながめせしまにいたづらに染まるともなく散るを惜しまず鉄錆の倦んだこの身に流るゝを「同じなのだ」とおまえは云つた
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鉄錆の倦んだこの身に流るゝを「同じなのだ」とおまえは云つた「潮騒」と誰かの声で紡がれる それはわたしの血汐ではなく
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今日君とたっぷりお話しできたからにやけたままで布団に入る
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うつらうつら 言葉の海を 漂う日々に 突然現れる 走る光よ
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なまぐさくない短歌だっていいけれど、けれど短歌よ血であってくれ
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同じ道 一年前にも 通り過ぎ 君の言葉の 選びの美しさに声を失う
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忘れないからと 怒る君の叫び声 そんなにも 強く積み重ねて 遠くに来たのか
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雨の日の 水溜まりをよけて 足を見て 本当に 避けたいものはなんなのか
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なまぐさきなしし短歌もしなれどなれど短歌よ血とあらまほし
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アルコールそれだけがわたしの全てきらめくあなたぼやけた世界
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降下する光の群れのただなかにイエスが立ちて果てが生まれる
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ダイエット 一番の敵は 飽きる自分
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「潮騒」と誰かの声で紡がれる それはわたしの血汐ではなくひとひらの永劫回帰の終古にて潮に寂びたる海を抱かむ
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明日でもできる と 明日やればいい を曖昧にして 今日も席を立つ
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