内にダニ 外に花粉が 舞い散れば 洟の行く手を 阻むものなし
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曖昧を淘汰するべく春が来る 許されるための甘い監獄
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野良猫の鼻先指を捧げます これが私という人間です
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底冷える 家の中はまだ睦月 外に出れば優しき弥生
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逃げ出したい 逃げ出したくてたまらない それでも尋ねてきてくれる朝。
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春嵐 わたしのなかに ふつふつと ある何かには まだ触らない
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大きめの携帯買った けどなにもすること無くてただ詠んでるだけ
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幼き日 おんなじことを奇数回繰り返す夜 気づけよ異常
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今は午前五時のまどろみの中でだけ会える人 息をひそめる
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戦争を知らない子供笑ってて その無垢掻かず大人になってね
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「命より大事なもの」という箱に人が勝手に詰めるがらくた
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繁華街おもちゃのティアラつけた姫 花を迎える気配に包まれ
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こいびとは遊星歯車の仕掛けで踊るコーヒーカップのごとく
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制服にはねた雨水笑い合い互いの気持ち嘘はつけない
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夢淡くはるかな君の過去想う。橋の向こうでさよなら言った。
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サイレントヘッドフォンから「こんばんは」鍵盤たたく、独身アパート
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ブラームス第1番のレコードは祖父から父へ僕へと伝う
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夜の森、小人たちの謳う声。黒い怪物が、うふふと笑う
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「スプリング・オブ・ライフ」ふと口ずさむ少女たちは季節を過ぎゆく
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コピペした家建ち並び曲がり道曲がり並び建つコピペした家
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レシートの束でむくむく膨らんだお財布持った手に春が来た
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身体を使ってできることがある たとえば背中を向けて去ること
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「自分だけ」思えるうちはまだ良いのだよ 人に矛先向けてない分
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余りある愛情なんて無くってさ、私は今日も君しか見ない
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なにげない君の言葉に棒グラフ動きすぎてて見づらいもんな
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きれいごとなのかも だけど青空は目に染みるほどこんなにも青
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「とりあえずやってみな」って太陽の塔のどれかの顔が言ってた
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心臓と薄く甘い空気の中を氷の粒が通り過ぎてく
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桜はピンクではなくさくら色 制服に袖を通す朝に
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線香花火と魚の死骸に着火して目眩がする夏の海
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