双十節龍の踊りや獅子舞と 銅鑼どらに合わせて弾ける華僑
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夜の車窓 微睡まどろむ若き母 その胸で 夢にあやされ 眠りつ笑う子よ
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秋鮭は川を遡上そじょうし産卵をへ あとは他の生きもののかてとなる
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桃の種 そのまた種は 白いはず 甘い果肉に 厚くおおわれ
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少し痩せたかスリジエの君は 「楽しいよ」言った言葉に少し微笑む
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壊れかけ車庫シャッターのぐずる朝当てにならない我が腕ぢから
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転生もワープもできぬ僕のまま両手を広げ虹をあつめる
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誰か僕に堅い鉄杭打ってくれ 右に左に揺れる心に
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チューハイを3缶呑んで窓空けて空気を吸って宇宙に向かう
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要らないと気づいた時に捨てました足らないものが分かったこの部屋
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缶チューハイ酔っ払う日もいるんだよ君は強いね飲まずに尾を振る
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夜もふけて独り家路につく影を月は静かにそっと見守る
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夜は垂れ酎ハイ片手に青信号ただ俺だけを導いている
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書き出しの 一文が出ず停滞す 閃き頼りも限度あるね
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「もういいかい」聞こえないままかくれんぼこの世では俺が鬼なのかしら
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あぁ遠い遠い昔の思い出はこの障害の大事な記憶
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ニュースから戦火と性別テーマとし意義申す母まだ大丈夫
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翌朝の自動車のために練習をしているような夜中の信号
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キッチンの手が届かない棚 かつてここには蜘蛛が住んでいました
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春も好き 夏もそこそこ 秋も好き 冬もそこそこ 変わり目苦手
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ガザの子ら うでにたがいの なまえかく したいになったら なまえしるため/ニュースで 実話
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雪虫の乱舞の午後はそそくさと干し物を入れゆったりとお茶
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アサヒゼロ ドライゼロより美味しいわ うまみしっかり 後味スッキリ
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口つぐむ海のむこうでなにをして過ごしているの、ごはん食べたの?
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適当に切ってもぜんぶ一口サイズ 丸いじゃがいも、人参、愛だよ
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框へと積む花樗はなびらの宵夜おとづれぬ遠縁の死の通達
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私だけゾンビになったみたいなの とりあえずカレの家に行く
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愛猫は二度目の菓子を貰いたく 床に寝そべり腹踊りする
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冬に備え がんばる蟻に プレゼント 夫つぶやく 「アリには優しい」
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ワイシャツのボタンを下から留めてゆきどうにか人の形になる朝
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