定年後 バイト探しは 難航し 体調崩す これも人生
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野球史に 功績残しミスターの フレーズの端々オノマトペ  
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気がつけば誰かのために生きていた 誰かが我にそうしたように
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どなたかは 知りませんけど感謝です あなたの「いいね」我また生かす
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雨戸開く 瞬間入る一月の 風に見つけた 小さき春よ 
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妹は我よりいつも冷静で 素直で優し 少し弱虫
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冬陽ふゆひさすぬくき書斎で本を読む。気づけばストーブの火は消えてをり
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被災地の 冷たく固い床の上   涙で濡れてる 君の寝返り
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先生の長話すらなつかしい同窓会であの日に帰る
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美しい言葉探して歌を詠み 旅をしている自分でありたい
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吾の中の 子供じみたる「もの」に会う 母の言葉にイラつく時に
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贅沢に 時間使って搾り出す タルタルぽたり レタスにエクボ  
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仏壇に 素直に向かい手を合わす 年を重ねて好きになりたり
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来客の多い正月去りにけり 疲れ寂しさ少しの安堵
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涙飲み 真実だけを 告知する その裏側の 医師の苦しみ
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うつぶせをあおむけにせば目を開けて息吸うごとし熊のぬいぐるみ
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何事もなかったような顔のねこ 家の様子は見るまでもなく
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彼女とはもう会えないけれど、あの人が、失恋ソングに憶うのは僕
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ベランダに住んでる気がする赤ピクミン 素知らぬふりして急に振り向く
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ジェイアール 扉の方を ふと見れば 疲れた顔の 阿形吽形
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人生の三分くらいは戦うの、幼き頃のゆめにならって
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大学生 手を出すなかれ 賭けクスリ 身近はラーメン 奨学金 
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怖いのは無意な時間を過ごすより思考あたま感情こころも止まること
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あたたかな こうけいだけを みていたい わらうこだけを みていたい
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あの女許せないのは私だけ 噛んだ唇同おんなじ色よ
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クロモジの冬芽ふゆめも緩む鏡割り古い友から賀状が届く
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静けさを身に付けたくて写経する 字に我が心 映っておりぬ
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ポストカードに描かれた白い曼珠沙華取り出し今からいくよ
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三百三十七那由他短歌三十一文字の組み合わせ総数の組み合わせの箱のなか とっておきだけを 君に贈るよ
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晴れになれ 天気予報に 胸痛め 離れた地域 想いを馳せる
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