新しい朝が来たので僕はまた ぼちぼち動く ショックは棚上げ
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ちま猫が ねこベッドあいた!とひとりじめ チビ猫は今日は段ボールの日
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兄までも行きたくないと言い始めあの手この手で盛り上げる朝
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気がつけば口遊んでたあの会社サウンドロゴにスマホ反応
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暁の老いの目覚めは昔にて眠られぬ夜の憂き物思ひ
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灰色の 雑踏の中に 秋色を 纏った君が 横切った朝
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何だ!俺死んじゃってるよ知らないで目覚ましちゃったどうすればいい!
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待ちかねた その日の秋を 鈴虫が りりり、と鳴いて 夜の縁側
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黄金おおごんに輝く天井モザイク画 息のみ見上げるサンマルコ寺院
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烏賊墨いかすみのパスタを食べて微笑めば昔懐かし鉄漿おはぐろ美人
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祖母別れ落ち込む君の背中見て 声かけられずそっと抱きしめ
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西空をくれない染めて暮れてゆくミラノの尖塔際立てながら
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玄関にやがて聞こえる猫さんのドタリ足音外に出せよと
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カマキリ は冬目前に動きがやっと 精一杯生きたじゃないか
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金蛇は庭の盆栽棚の上家族の如くちょろちょろ走る
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此の頃は雀を全く見かけない猛暑の夏に参ったか心配
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栗のパテ鹿のテリーヌ ハイカラな料理が並ぶ古民家の店
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レシピって言葉初めて聞いたのは四十年前津田塾女子から
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よそながら 燃えがりては夕月夜ゆふづくよ 曉闇あかときやみとなりてなみた
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禅堂で無念無想の顔をして金儲けのこと女のことなど
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白菜の値段に驚き振り向けば豆苗さんが慈悲の手招き
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始発、今日も真っ暗闇を突っ走り、着く頃が夜明けかな
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秋ふけぬ なにもしづまるあかときに 月なるしづくそとぞ宿やどらむ
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病床に聞こえてくるは 慣れぬ手で息子がしてる 洗濯の音
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屋根に猫月を見ながら柿を干すベランダで受く風は冷たい
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我がこひぢ助けたまへと祈る夜かみなしづきの八幡さまに
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本当におまえが忘れていたものは底に残った洗濯物だっけ?
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除湿機の音が延々と 延々と耳障る深夜 もう眠れない
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薄き花弁  輝く姿優美に  息することも忘れ 時を止める
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二十度を 超えても作る 夜はおでん ねりもの大根 糸こんウインナ
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