保存水賞味期限が近づいて感謝して飲む事なき五年に
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この曲を聴いてはならぬ幸せな貴方との日々吾を苦しめる
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春風に 乗って来る匂い 旨そうな 匂いにつられ 腹は鳴る成り
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あをによし 國内くぬちを過ぎてゆく春の 靑葉あをばを吹きて風のかをらむ
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三本の冠動脈に四つ目のステントるや七十二歳ななじゅうに、春/連休明けに予定
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「行きたくない」放り出される朝7時。はめるイヤフォン、ユートピア行き
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夢残滓 薄れる霧を 掴まんとす 空切る思考 神のまにまに
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本当にやりたいことが何もなくてくだらないことをし続けてしまう
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当たらないiPhoneの予報言い訳に 何処も出かけずミルクバリュー
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賞味期限間近のクッキー やっと食む 温存し過ぎて日付が過ぎる
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雨だけど 今日はねこたち げんきなり はしりまわって どあもあけちゃう
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おかあちゃん おきるのまってる ちま猫や ぼーるあそびは していたけどね
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黄砂・花粉・PM2.5などチェックして 今日も部屋干し 青空恨めし
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豆苗の収穫もはや3回目いいねやっぱりすごいねやっぱり
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雲頂の波間を越えて蒼天をまどろみながら運ばれてゆく
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何なのか分からないけどなんとなく幸せ感の一瞬がある
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統計の父ありて確実に死すきみらやさしかる絞首臺へ誘ふも
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父母優生学に分別すはなはだしくおそろしき医師ある
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仮面劇にはたれもが左右へへだたりて中央には翼賛図、曲々し
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自傷のごとき自嘲に充ち充ちて畢竟死は喜劇俳優に外ならず
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馴犬支配しゆき叱責す主人のかなし頸枷を牽く
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どんよりと 空は分厚い 雲ばかり 吹き飛ばす我 心は昇々じょうじょう
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五月雨の戦場ヶ原炎燃え影なき媼のせなは悲しき
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終了と同時にあゝの献上は決勝点だハンドの悲劇
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慰めも二日続きは空しいと独りベッドで朝寝坊
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久々にぐっすり眠れた日曜日窓開け放ちヨガでスタート
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散歩路のノーヘル自転車子のパパは咥え煙草でスマホみている
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われひとりシャツを繕ふ侘びしさも 針で指刺し「んぉ!」と吹き飛ぶ
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朝に鳴く鳥の声を聞く部屋は暗いほどに心も酷い
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そぞろ行く のぼりはためく城下町 つがいの鳩も食べ歩き楽しと
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