窓の外遊ぶ子いない昼下がり花もひるねや猛暑がうだる
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朝の庭 蝉の抜け殻 葉の上に しばしの涼風 風の抜け道
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愛犬の為と夫は仕方なく 冷え冷えの部屋で布団にくるまる
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亡母はは言ひし 齢をとらんとわからんよ 解ってきたよ痛みも不安も
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鳥たちは頭寄せ合いついばんで 草刈りの後に残ったご馳走
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色あせしパネル写真にクームス教授と語り合へるは若き我なり
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手首だけのギロチン麻薬のようにして気づけばなくなる喉 声も出ない
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Camera obscura 深き夜の愉しみ 排気音 遠吠え 波の音
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流れてく灯りが疲れた僕をなでる 弛緩する身体、深夜のドライブ
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配られた人生みたいなナッツにも好んで食べる誰かがいること
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ありふれたピーナッツの味。愛されて、変わらないからいつもそばにいる
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魅力ある人にはちゃんと恋人がいるぞ わたしはおとなしく生きろ
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遠距離の彼は彦星隔てるは物理の問題想いは傍に
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疎外感。僕は悪で非力な神。 不快害虫。曰く、「不可解」。
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心臓が ころころ動く 人の目で 込み上げる咳 それでも自分を
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明日から 頑張るぞって 思う時 半ば自分を 諦めて寝る
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自分を 自分と見てくれる 人が好き みんな敵だと すぐ思い込み
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あんぱんが一個限りの昼食に漫画読み繰る窓際の風
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唐辛子たつぷり蕎麦にかけて食う丼の底夕日ができて
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寝ながらにノート広げて歌を編むよい作できず肩のみぞこる
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秋葉原初めて行ったメイドカフェばつの悪さにすぐに退散
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特殊過ぎ理解不能の吾がブログ同じハンデの「いいね」の温もり
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猛暑日の 首巻くタオル 風呂上がり 汗が速いか 拭くのが速いか
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多忙に蝕まれてく夜「あれがベガ」って肩ごしに指差してよ
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苦海にて藻掻くさだめの百年に落語は少しく救いにはなり/喬太郎みてきたよ
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花散る日帰らぬ人よ二度ともう私の前で笑いかけるな
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どんな君でも大好きだよ 心から思ってるから決して曲げないで
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父のため最後の一粒残しおく特別甘い今日のハイチュウ
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金平糖 口に広がる その甘さ 頬をゆるませ 童心に帰る
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立ち止まる 見上げる空に 星空が 散らばる星よ 甘き飴玉か
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