陸塊はつめたいふすま 天球をベッドメリーに詩人はねむる
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元気ですお陰様でと言われても私は何もしておりません
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ここにきて そばにいてとまだ顔も知らない運命だれかにむかって叫ぶ
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亡くなった方安らかに 生けるもの健やかにあれ今日も一日
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二代目の弱さを語る先輩に共感しつつ抗っている
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年度末地層のようにプリントが積み上げられて春はすぐそこ
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暖かさホッとする気持ちに交差する地球の生命聞こえる悲鳴
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罪という 病が覆う この世では ワクチンさえも ままならぬまま
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病院が 人の心の 病まで 直す能力が あるのだろうか
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現実の 悲惨な姿 認めれば 処置を施し 病を癒す
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ただ生きて 機械のように 働いて 廃れ壊れて ただ死ぬなんて
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人生は 他人と関り 交わりて 愛を感じて 涙するもの
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助けてと 会話の狭間 聴こえたら 無視はできない 愚かな男
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衰えた 体と心 眼には 他人の苦難も ぼやけてしまう
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庭活を夫はしており黙々と 子等の為とて寂しさ滲む
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罪深き 闇の世界に 首を入れ 眺めてみれば 泥をかぶりて
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たこ焼きが 真実語る ようにする 他人の家庭の 闇を焦がして
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チュンチュンと 5階の窓の すぐ横の 穴から聞こえ 春よそこまで
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悲しみに慣れることだけ覚えれば 生きては行けるもうすぐ春だし
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土筆はね小さき音をさせながら 土出るらしい 春なの?ねって
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こんなにもわれを夢中にさせたるは 柑橘類なり「はるか」といふ名の
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本日のお昼は外でランチゆえ「朝は抜くわ」と母九十五
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幼子の髪結い止める朝なれば もうすぐ五歳の匂いの毛先
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毎朝の我が家のルーティン血圧を はかる機械の規則正しさ
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新聞の死亡の欄に友の名の あぁほんとうに死んでしまった
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整枝されおさげの髪のしだれ梅 三つ編みできぬつぽみの涙
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祖父、祖母、父、母、直系かぁ
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始発電車、満員御礼、南無阿弥、家内安全
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ひとばんに おきるといれは にじゅっかい 「じっとしてると はきけする」/はいかいじのバァバの人格 焦燥感?
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完璧でいられぬ僕たち私たち四角三角円筒の群れ
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