まいにちに 一彫すすむ 彫像は かじやざつじで その身あらわす / 爺草w
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いまならば できる体位が あるのだと 側臥をやめて 箸 をとらせる / 介護
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「世界一好きだ」って言う君はこの狭い町から出たことがない
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病院の 帰りにたべる とりかつの 残りのはんぶ 食べる頼もし
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あの頃に没収されたノルウェイの森を読んでみたりする二十歳の5月
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ペアグラス割れても末に会いましょう「引きずらないで」片割れが言う
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いつからか苦味も旨くなっていた 戴き物のワラビをあてに
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暗い朝、濡れてる人を守るため蝙蝠傘は飛んでゆくのか
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えずくように 用紙を送る コピー機に 共感覚ゆ 梅雨の幕開け
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欲望を 肯定して(もらえ) る  西欧と 煩悩ひていの 文化の(つら)差 /ディズニーランドは大人の欲望
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かみさまのなみだひとりと落ちてきてわたしのめからもあめがこぼれて
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本棚に島耕作とカイジ・刃牙 おっさんの味家系ラーメン
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年毎に散る橘のいかなれば風も昔の香に匂ふらむ
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伝票と納期と手配繋ぐメモ 途切れぬように太い字で書く
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あなたの目の上では発色しないアイシャドウを見ていたの
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ひそと咲く黒き花葉かよう寒葵カンアオイ 罪を孕んだ恋の似姿
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あまやどりあかいあめだまなめながらからかさおばけのお迎えをまつ
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バイバイと玄関前で別れるが犬の散歩でまたキミを追う
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日銀や 年金資金 運用で 株価支える お役所バブル
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今朝だけはラジオ体操鳴らなくて沖縄の空避難の呼び掛け
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梅雨入りの時期が今年も早くなり 例年の意味が分からなくなる
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ジェイアラート どこに逃げても あたりゃしぬ ききをあおって よさんかくとく
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なにごとも移ろいやすいあたしだものねみそひともじもきっと今日きり
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好きな事心のままに続けたら私の自由が遊んでくれた
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しあわせでなければならない花嫁に向かうスマホの夥しさや
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構想四年、もう買ったのに まだ付かない 傾くキッチン つまなじる妻 / リフォーム
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お目玉を くれるひとさえ 絶えている ハハとなぞとく 再建何の?
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楽しみは 女房と晩酌 ほろ酔いに いつまで続く 死ぬまで続く
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雨上がり畑の泥濘みに足取られ泥の靴下夫は突き出す
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離れると空を飛び交う文字の波  いつもの夜よりあなたが近い
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