鈴虫も鳴かない夜にひとつだけ 寝れない私の部屋だけ光る
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与えられ続きの人生 でも我も微々たる影響人に与えり
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あたたかい友の言葉に涙して 生かされている、生かされている
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いつも目が血走っているあの人せんせいは寝る暇もなく健康を説く
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通勤の 橋の下では 白鷺しらさぎが 秋の光に 羽根を広げる
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愛されて生きていること ふがいないこんなわたしの生の賜物たまもの
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いっとき願うあなたが飛び上がる時素敵な姿で宇宙まで
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今日受けたやさしさのお守りとしてチロルチョコをポッケにしまう
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たいせつなあなたをそっとうけとめる胸の脂肪があってよかった
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あなたとは素顔すがおのままでハグしたい へんな香りの化粧をはいで
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前だけ見て走ってるから振り落としたものも分からず前だけ見て
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朝霧に萩の紫鮮やかにゆうべの憂い涼風に消ゆ
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なにものかであろうともがく人たちをながめてをりぬ noteの隅で
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ほっとしたよかったよかったそれでいい 日本の若者肌は無瑕で(みきぴさん返歌)
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詩人にもできる仕事はありますか うっかり聞いて失笑をかふ
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本当は歩けたクララのように杖を探して歩き出す母
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薬指はあの頃のままだった 別れたカノジョと駅前で会う
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お風呂で落とすためだけのメイクこのためだけに買ったファンデーション
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人類は滅亡しませんでしたでもあの子は死にました ふざけるな
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なりたかったなぁパン屋さん ピンクのランドセル押し入れにしまう
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四コマ漫画が三コマで終わる字足らず短歌は川柳になる
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二歳半姪っ子走る盆休み親知らずの軽やかな足取り
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僕の顔を見て兄の名を呼ぶ祖母 兄さんはここでだけ生きている
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夏を越えられない金魚はしろくまアイスのように記憶から消える
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夏の終わりに指切りをする 「また来年ね」はやわらかな命令 
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私の亡霊が語る将来の夢 足元の空き瓶を蹴る
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伝えてみろ板の上の熱狂!ぶちーん!イェーイ!の勢いたるや
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しあわせですかおげんきですかとスーパーが訊いてくる意義はあるさ
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物語にも叡智にもどこにでも飛んで海に潜れ地を駆けて
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チラ見えの あかいおしたがかわいいね おみずをあじわう ちま猫ちゃんよ
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