柿の木の幹のカーブがなんとなく月光菩薩葉に隠れつつ
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真夜中にヘッドホンして爆音で流すSOUL'd OUT まどろむ
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言われたい放題の日々だ雪崩には降り積もる雪が前提にある
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ぼくはもう痛みを抱えることはないポイントカードに空きはもうない
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「うな玉」の文字にそそられパック寿司 カゴに放り込む五月のある夜
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深緑ふかみどり甘苦い液を飲んでみるいつもの私に戻ったみたい
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春夏秋冬しゅんかしゅうとうどの季節にも好きなところひとつはあるよねそういう生き物
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最終日 教室長に別れ惜しむ 保護者の波は絶えることなし
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オシドリの生態は実は年毎としごとに相手を変える何故なにゆえシンボル
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くしゃみする気持ちは未だにわからない春が来たねとくしゃみをしてみる
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飲むたびに薬の味がするソーダ水 だからといって飲むのはやめない
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眠る君眉ひそめる君寝ぼけ気味どんな君でも今がいちばん
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起きぬ君見つめてみればもやもやと雲隠れする私のこころ
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君はいつもいやと言って見せないがたまの八重歯を愛しく思う
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暖かく湿った空気を吸い込むと春の雨から桜が薫る
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帰り道ひとの多さに驚くのは千本のあか戻る奈良線
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目の前でうまそうなパフェ頬張るのはみどりのグラスの底から見る君
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鎧とも呼べない殻は湿ってて甲殻類の死骸の匂い
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埒もなくlikeがやがてloveになるらせんはここに濫觴を見る
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私より長生きしてよ キャスターの1mgなんて吸ってないでよ
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看板はきっとパリピが発案者 ネオンライトは瞳孔を刺す
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十代の九割ちかくラップ好き 数値だけで知る誰かの大好き
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この未来さきに きみと歩める人生が 待つなら耐えて 強く生きたい
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思春期に出来た友との初めてのお出掛けで気付く自分のダサさ
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生き延びることは生きることではない 音楽、五月雨、夜中のココア
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人間を世に放ったの誰ですか?ちゃんと責任取って下さい
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楽しさは倍に悲しみは半分につくる料理の量は二倍に
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大学の1限の試験は手ごたえなし「行けただけえらい」と自分を褒める
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飛翔体大好物の隣国の将軍さまは目立ちたがりで
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耳付きの紙風船を包み上げ 月丘で弾ませ50歳
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