引き留める すべはなくとも 愛届け そらに向かって 祈りの歌を
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目についた 小さな看板 ベーカリー 寄るか寄らぬか 散歩の途中よ
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早咲きの 桜は雪を 耐え凌ぎ それに倣って 吾も生きるや 
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左右左と指示器ちらつかす若葉マークのフォルクスワーゲン
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悲しみの知らせと記念日続く日の冷たき風の吹き荒れる弥生
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ありがとう 鳥山先生あなたが灯すの下に集い安らぎ救われていた
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歳かなぁ その瞬間トキ始まる 老いの坂 転ばぬ先の 杖にぎり締む
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光陰は特急ごとくに行き過ぎて皺増えるごと速度を上げる
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ひと世代前のジャンプとりぼんっ子 なんとも辛い週末となり
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まるちゃんか‥ 盆踊りでよく踊ったな ピーヒャラピーヒャラ パッパパラパ(哀悼)
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熱のない あふれる光り 降りそそぐ 残雪にうつる 影を濃くして
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想像の五倍くらいの高速がふたりを襲う魔の観覧車
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誰しもがいちどはなったことだまのトリガーハッピー、戦場は雨
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みどりの やはらかなりぬ翆髮すいはつを けづりしくしのすべるやうなり
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鴬は都に出でてあるじなき谷の古巣にてる梅が香
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春靴のキャッチコピーに誘われし 川べり歩く五キロ先あるイオンまで
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敵の力がなぜか一気に弱まって横取りをしたラッキーな今日
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健やかにミサ曲歌う孫娘 高校卒業皆勤ひかる
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あと少しで百歳なれば痛みとか寂しさ抱え一日生きる
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土曜日の朝はゆっくりやってくる 焦げ目の付いたフレンチトースト
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今朝もまた雪は枯野に舞い降りぬ 春の息吹も覆い隠して
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なんどでも願ってもいいあの空へロマンティックとパンティをくれ
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原田マハ著『板上に咲く』を試聴せしも津軽訛りがずれゐてもどかし
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木漏れ日に まどろみかけて ふと気づく 寒さほどけて 春は窓まで
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多才なる 人を天は 召す冬か 先週鳥山 今晩TARAKO
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助かるかも諦めたら終わりだと身体摩ると確かな呼吸
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雨音に紛れ鼓動を高鳴らす 予報ははずれ 湿り気だけが
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生きようと辛そうに見上げ口開けてちゅるちゅる二本今朝の食欲
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今日と明日あす 昨日きのうと今日が 出会う時間とき 夜明けまだまだ 「おやすみなさい」
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こころのなか って書いて心中って書くの、打ち明けても人は死に向かうよ
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