意地がぶつかり合ってシーソーゲームいい試合だったと勝ったら言える
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鈍行で君と惰眠を謳歌する 明日あすの始発でまた待ち合わせ
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夏らしい帽子を母にプレゼント 今年いちばん笑顔が見えた
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夕飯を作った指にも痕跡が 残って漂うヒント:タマネギ
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玉子焼きその一切れの出汁香る 丁寧に生きる貴女を知る
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後朝きぬぎぬにのこされたのは溶け合った色合いを抱くふたつのうつわ
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いろはすと同じ温度の微温湯と沈みあう あなたのことはそれほど
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これやってこんなに痩せる立て看板いかがですかと聞きづらそうな
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半袖にオーバーオールのお出かけも夕暮れ風は肌に冷たい
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せまいカゴ おはこもすきなの ねこだから おちつくんだよ じゃすとふぃっとだ
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プルプルのコーヒーゼリーでリフレッシュ サイゼのやつもまた食べたいな
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住宅街 隠れ家のような 喫茶店 レトロな雰囲気 心に刺さる
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君が使う 一番強い一駒に なりたいと願う チェス盤の上
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あわよくば 君の「最初」になりたいし なんなら「最後」も 私がいいな
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下書きのままそこにあるメッセージ 送れば君は困るだろうか。
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紫陽花の名前がダンスパーティーだから雨だけど踊ってほしい
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その木陰 集う子供ら大らかに見守るけやき 今も昔も
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ひそやかに小さな本棚組み立てる 幼子眠る土曜日の午後
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道端のオオキンケイギク引っこ抜き 環境省に忠誠誓う
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青夏の葎〈むぐら〉のようなひとの群れ いまゆうやみに澱む声たち
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夕暮に路傍に残るチョークの絵 昼間の子らの賑わいを見る
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春の日の路傍にぽつり枯れた蝶 風に吹かれて羽ばたくがごと
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子どもの歯抜けそうなのと嬉しげに 教えてくれた五歳の秘密/近所の子
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こっそりと散髪するも甲斐はなし帰宅をしても家内気づかず
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きづかないでしょうきずつかないでしょういつかはきえてくれるのでしょう
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わたしのポエムのレシピはね 甘い言葉とスパイスに、ひとさじのだけのだいじな厭世
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どしゃぶりの心に反して晴れ模様 もうじき雨の季節が来るよ。
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ラムとくり 小高くそびえるあまい山 フォークで崩し、野原にしていく
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厚着したあなたが早く帰れるよう祈りを込めて受け取るティッシュ
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恋なんて みんないつかは泥塗れ  でも汚れてもなお宝石で
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