Utakata
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中田満帆
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森忠明に師事。歌集「星蝕詠嘆集」、歌誌「帆(han)」発売中。
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夏終わる金魚の群れの死するまで鰭濁るまで語る悲歌なし
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夏帽よさらばひとりが立ちあがるうすくれないの片隅のなか
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血と砂の交わりばかり戦場が頭蓋蝕む真昼の余韻
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雲澱む雨の予感のなかにさえ慄いてゐる三輪車たち
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モリッシーのごと花束をふりまわせ夏盛りぬときの庵に
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探してる きみの匂いがまだ残る路の果てには未舗装道路
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指で以て詩を確かめる未明にてレモンピールを浮かべたそらよ
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めぐりたる星の羅針が定まらぬきみの両手の運命線よ
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荒れ地にて花を植えたり詩語などつつしみながら丘を下れり
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詩に淫すこともなかれば八月の縊死の牡犬駈け廻るなり
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死ぬためのこころがまえもままならず驟雨ののちの室外機啼く
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cabaret london 滅後の愛をいつわりし女主人のヒールが高い
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抜ける青とどめく青よ青だけの世界あらしめ夏のまぼろし
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だれもない場所がよすがか夏の花かかげるばかり汗を流しつ
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雨光るルーフの上の蟻たちが落ちてゆくなりせつなの彼方
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窓に酔う光りのひとよ特急の新開地にて乗り換えるかな
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青嵐去って一輪挿すだけの花壜がひとつ行く不明だ
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やがてまたぼくが終わろうとする夜に蝉のぬけがら一切を拒む
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免罪符なかれば奔れ かぜのなか埋もれるだろう陽のひかりまで
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なにもかもが淡いよ夏のかげろうの辻をひとりで帰る足許
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浴槽が充ちる早さで夜が凪ぐ嵐のあとの傍白を聴け
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たれゆえに叫ばんか夏草の枯るるところまで歩めるわれは
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夏の嵐 かぜにまぎれて去るひとかげを追っていまだ正体もなく
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ゆうぞらもかえすことばもなかりかな 鳥の一羽を素描したらば
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水匂う両手のなかの海さえも漣打ってやがて涸れゆく
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車すら棺の隠語 カリーナの嫉妬の一語いま燃えさかる
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桜桃の枝葉の匂い 復讐はもどり道など断じていらず
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地下鉄にゆられる少女ためいきがやがて河になり馬になる
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暴力をわれに授けし父老いる 赦さるることなきわれの頭蓋よ
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うばたまの夢が波打つ岸辺にて流木ひとつ持ちて帰らん
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