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中田満帆
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森忠明に師事。歌集「星蝕詠嘆集」、歌誌「帆(han)」発売中。現在、寄稿者募集中(連作のみ)。
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たかみより種子蒔くひとよ地平にてあわれみなきものすべて滅びよ
4
告白の虚構性にて成るものを買いためて自己という旅
3
ひざかりの天使堕天使とりどりの褥あつめて輝く裸身
2
愛も死も厭いてオーデン詩集閉づまたも失う人間の道
6
まなざしの光りのおおく吸われゆく萩の花咲くみどりの小径
8
That's a bloom, やがて消え去る色たちに報いるために死など撰ばず
3
みずからの両手を捧ぐあえかなるみ空のむこうガラスがわれる
3
十五才少年の海を流れ来る花粉航路の壜詰の歌
4
秋の花まがおうどきに咲き誇るパークサイドの街灯のもと
5
燕子花ふるえるような輪郭を見せているわれにずっと
2
人間の家が心のなかになくきみのことばに滅ぶ祝祭
4
はるかなる他者のうちにて戸を叩く「われを識るものここにもおらず」。
3
わが内のふぐりが濡れる足許を神が浚って消ゆる祭儀よ
1
りんどうの花びらちかく蘂ちかく祝うみどりの婚姻を待つ
3
ときを飛ぶくるまとんぼの複眼が秋をくらます真昼の光り
5
ぼくばかりが遠ざかるなり道はずれいま一輪の花を咥える
6
夏終わる金魚の群れの死するまで鰭濁るまで語る悲歌なし
1
夏帽よさらばひとりが立ちあがるうすくれないの片隅のなか
3
血と砂の交わりばかり戦場が頭蓋蝕む真昼の余韻
2
雲澱む雨の予感のなかにさえ慄いてゐる三輪車たち
3
モリッシーのごと花束をふりまわせ夏盛りぬときの庵に
1
探してる きみの匂いがまだ残る路の果てには未舗装道路
6
指で以て詩を確かめる未明にてレモンピールを浮かべたそらよ
6
めぐりたる星の羅針が定まらぬきみの両手の運命線よ
2
荒れ地にて花を植えたり詩語などつつしみながら丘を下れり
2
詩に淫すこともなかれば八月の縊死の牡犬駈け廻るなり
4
死ぬためのこころがまえもままならず驟雨ののちの室外機啼く
6
cabaret london 滅後の愛をいつわりし女主人のヒールが高い
3
抜ける青とどめく青よ青だけの世界あらしめ夏のまぼろし
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だれもない場所がよすがか夏の花かかげるばかり汗を流しつ
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