中田満帆
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森忠明に師事。歌集「星蝕詠嘆集」、歌誌「帆(han)」発売中。現在、寄稿者募集中(連作のみ)。

秋至る ところせましとたちならぶ口惜しさばかり迫る午後なり
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あかときに樹は眠りたりしずかなる定型詩文のごとき水脈あり
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天水のあふるる道を渡り来て六甲道にバス訪れず
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つれもどす声などあらじ喫煙所撤去のざまを遠く見るのみ
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泣き延びる 夜の託ふたみこと云い零したり菊の葉落ちて
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よすがなどあらず水場に咲く花を剪る一瞬の夢が悲しい
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石を飼う女存りしやコクニーのような訛りで躾けるものを
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馬果つることもなかりき草競馬見下ろすのみのわれの祝日
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愛子内親王の眼のなかにしらじらと三十一文字の呪学はありぬ
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どこかでいれちがうひとがゐる駅のなかを漂う空洞としての時刻表
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なおも雲がつづく道の果てわずかながら願いなど持ちぬゆうぞら
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労働を拒むおれたち 夏はいま禁治産者の五月祭かな
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運命を買いためて来し男ありダービーの日は『優馬』を読みぬ
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パーラーのいちじつ暮れるおれがまだ苺ミルク待ってゐるのに
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フィードバック・ノイズあふる哀悼示せし大友良英の舞台見ゆモニターにて
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布ひとひら浮かぶ人工河川やがて来るだろう裁きなど忘れつ
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鍵穴が合わない夕べ地階にて癌検診の通知受取る
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若さもてぬぐう頬なし少女らの悲歌さえ遠き夜の公演
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やがて世が夢だと気づくこともあれ 革財布に護符を入れたり
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ベルボトム逆さに吊す夏の夜の猥語のごとく愛しきものら
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青夏の葎〈むぐら〉のようなひとの群れ いまゆうやみに澱む声たち
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霜月の終わり入り陽をかすめゆく鳥のかげさえ死語となりぬる
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日干しする鰯の顔にぎらついたわれが映った両の眼の真昼
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中也ごとマント掛けたる冬をいま鏡のむこうに見て風車
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村あかりあかりは遠くとおくにて野良の眸は裸のあかり
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保安所の不在は窓にあらわれてやすらぐだろう警報ランプ
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天体をかすめて落ちる衛星の望郷にみな焼かれてしまえ
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名を持たぬコンクリートの塊が悲しむような岸壁の時化
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たずねびと色失いつつ貼られては消えて久しいきみあり
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死との間を洗う行為が人生と云い回廊去る清掃夫たち
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