いい出会いだったのに「いい友達になりましょう」からもう指切りも
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春ですね出会いの季節考(とう)さんに妣(かあ)さんにまた会いたい今日も
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過活動膀胱ずっと泣いている治してくれる医に出会いたい
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仏教にいふ「抜苦与楽」の精神をターミナルケアに反映すべし
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ひとりぼっちだから月すら眩しくて闇に逃げ込むくすんだ鼠
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北極星になれはしない星があり君の世界で名前付きネームドとなる
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とにかくさやれることをやるしかないよやれることだけしかできないし
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我々は誰しもいつか死ぬんです 皆さんそれを分かっていますか
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たすけて、と小さく声に出してみる夜もある 返事はもちろん無い
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気がつけば運転席にいる自分 後ろの席にはもう戻れない
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恨まれぬために役立つことをする ローマ時代の奴隷のようだね
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復讐を砕いて砂糖と火にかける 蜜より甘いジャムの完成
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LINEくらい返してほしい 四十九日 ポルターガイストをこいねがう恋
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天国は最高らしい きみからのLINEがぜんぜん既読にならない
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出会った日奇跡みたいな星空に恋を信じてみようと思った
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「死にたい」の弾丸込めた送信欄 きみが見えたら引き金を引く
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疲れたよめっちゃ疲れたさすがにね床に入って身体のびない
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息子ほど歳の離れた頭脳派は思いやりだけ少し足りない
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青い春観なくなったよこの歳さなのに銀杏聴いてる不思議
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放課後の マウンドに立つ 華奢な脚 コールド負けの エースに抱かれ
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あったかい春の日差しに優しさをもらって君に会いにいきます
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教室の 窓から眺めた 並木道 今はオフィスの 喫煙所から
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死に際に 夢見しあなた 若き日の 濃紺のゲートル 嗚呼麗しの
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大きな目 優しく笑った あの日から 冴えない僕の 生きる理由は
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桜木よ 叶うものなら 時を超え 入学式の 君と話せたら
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あたらしき 学徒を迎えし 並木道 穢れぬように 踵を返す
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足立区の 共産主義的 人形屋は プロレタリアの 人民服を着せて
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吉野家で コの字のテーブル 越しに見る 下品な女の 紅生姜丼
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吉野家は 焼肉丼を 食べる店 貧困層かな 牛丼汁だく
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吉野家で 迎える朝日 徹夜明け クーポン悦ぶ 二十五の春
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