もう一度 愛されてももう あの頃は 還ってこない 花よ散り去れ
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大好きな あの人を想い 業務過多 心の支え 春風のよう
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業務過多 深夜の事務所 窓辺にて 池の水面と満開の桜
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逢いたくて 逢わない方が善いのだと 自分ころして 幸せ願う
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新幹線 乗りて帰路つく窓際の 映る向かいの 子仕草笑う
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赤ちゃんと 視線が合うと ついバァと 親バレぬよう あそぶ喜び
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黒い紙に黒で書いた告白はほどけて真白い蝶になった
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復興の道しるべのと鉄道の再開はいい出会いの予感
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傷ついたきみのほうがうつくしい いつか呪って四度死ぬから
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春の午後 庭の片隅 咲く花の たくましかりき 命の連鎖
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沈みゆく 船から落ちて 思うこと 私だけでも 生き延びてやる
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曇天の 桜の下で思うこと さっさと散って 終わってしまえ
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あまのじゃく気持ち裏腹吐き出せず 桜見上げてため息ひとつ
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些細事故 トークゲームの主人公 まるで今だけ 明日はもう夢
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我が心 揺さぶる讃歌 エルサレム 今こそ進め 迷うことなく
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朝刊のガザの惨状目に止まり自分の有り様ありよう羞恥覚える
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流されて思ひしわれは儚くてほんに見つけしわれの明るさ
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桜見てテントウムシも寝転がり秒で寝られるレジャーのシート
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ゾクゾクとおっさんたちが集結し打ちっ放しの割引の朝
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あの角の 桜の樹の下 薄紅の 花びらでできた 水たまり覗く
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三年生線一本を足せばよい来年からは魔の名前つけ
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空見上げ 桔梗色付く 十八時 自分の影に 今日はさよなら
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父親のラインアイコン画像見て稲垣足穂好きだと知った
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居酒屋の看板朝に灯が消えておとなは今が黄昏れなのか
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腕の中とろ〜りとろとろ溶けてゆくミルクになったあなたのことも
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笑うこと自分のままで生きること間違いだけどゆるしてほしい
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来し方をふり返るなら老いて恋ただエチケットのみ備はりつ
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眠る猫景色の変わる車窓からひどく空虚な光が注ぐ
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音楽は私のそばに寄り添ってひとりじゃないと心に触れる
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咲きををり にほへる花は御佛みほとけを つつみていは灌佛會くわんぶつゑかな
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