好きなのか聞かれて二拍置き「たぶん」 ショートカットが斜めに傾ぐ
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ゲームして 配信やって 短歌して 休みの時間 いつも逃げてく
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遥かなる温もり求め想ひやる 幾夜重ね面影を待つ
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これ以上望むものはないからさ あの夏の日を私にください
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びっくりだ結婚記念日きねんびだねと言う夫 明日はきっと雪が降るぞよ
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君くれし言の葉想ひ起こさせば 瞬きすらも永遠に光れる
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夢であれ何度も閉じる瞼にも情け知らずの現とあした
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子が巣立ち手作り料理手抜き気味 久々肉じゃが、じゃがいも固し
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夏季研修 部活で出られず 涙飲む 息子の疲れを 案ずる母よ
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れているあの蜘蛛くもいと辿たどれたら わたしあいあやめてください
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「モテモテに なりたかった」 と 涙ぐみ 彼女は今日の 糧を吐き出す
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姫の真似 スカートの裾 手でつまむ 階段ひっかけ コケてられない
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箱買いのトマトのヘタは緑色子育てみたくそっと常温
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背に置いたてのひらにさえ気付かないあなたの闇の深さをはかる
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人妻になった君を飲みに誘うほうが楽だと思わなかった
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てくてくと家路を急ぐ足元を 紫に照らす夏至の夕空
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あの頃は幸せすぎて苦しくて 遥か未来に思いはせせてた
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遊ぼうよ!とにかく全部置いといて そんな日だってあっていいよね
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通勤快速インターネットに降る星はいつも貴方と同じ顔をしている
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明け方に生まれた君は少しだけ素直になれる時間をくれる
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解を得て出る者上目に見ながらに、未だ生といふ教室にゐる
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だれからも非難されてもいいようなことをした日に剥いたおにぎり
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とりあえず、なんて軽率に言わないでおまえの意思でビールを名指せ
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絶対に事故らないよと念を押され買ったペダルのない自転車バイシクル
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朝方の雨雲は消え夕陽差す 閉じた傘で切り裂いた空
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曇天に雨粒ぞ一つ手落つれば 月丘へ逃る天の御子や 
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オールとる 八人エイトのすべて合はさりて 川面かはのもすべる舟艇しうていめう
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嬰兒みどりごに 湯をあみすれば手握たにぎりて いきづみとよみいかいかと
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歲違としたがへども十五じふごにて 住み込みの風呂屋つとめが父母の馴れ初め
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アジサイの花からどこへカタツムリ引っ越しするの家持ちながら
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