うつぶして 空五倍子染うつぶしぞめあはに なみたの色で月を染めなむ
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七時二十分豪雨が降ると予報鳴る 長距離移動する日の朝に
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くもり 碓冰うすひの空の雲閒くもまより きざはし天使みつかひの立つ
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若者と試験に臨み焦り立つ 記憶の衰え 白髪を見る
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雲の上、太陽サンサン輝けど、地上へ届く気配すらなく、傘を忘れて、少し後悔
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寝不足の朝に瞼は「ずん」と重く こじ開けるメスは朝陽の光線
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何卒なにとぞ何卒なにそつって読むあの子とはきっと生きてる世界がちがう
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下を向き スマホばかりを 眺めては 目の前にいる 友を忘れる
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「ねぇ」と呼ばれ僕の名前は無くなって名無しの権兵衛と名乗ろうかな
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生き急ぐ 魚群を眺め 待ちぼうけ 駅のホームで あぶくを吐いて
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傘もなく雨に降られてずぶ濡れで なんだか楽しいゆっくりこう
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階段を上るたびするパチュリーの土の匂いをさせとく仕掛け
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春夏秋冬三月さんつきごとに移りゆく季節を感じる日本は美し
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ジリジリと焼かれる皮膚を守りつつ初夏を感じる四月三日
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三日ぶり短歌を作るバス車内次に君と乗るのはいつか
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白髪や皺を刻んだ顔を見て思い出すのは懐かしき香り
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北陸の鉛色の空見つめればかすかな光天啓てんけいのよう
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毎日を忙しなく生きるたまにでも休むことはとても大切
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青縁あおぶちのキラッと光る眼鏡をかけ君は今日も目を輝かせる
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青空に大きな雲を泳がせてゆっくりのんびり時間は流れる
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空っぽの心に響くあなたの声私の中の渇きを癒して
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おすすめのお酒はあるかと訊かれればカクテル言葉を君に贈ろう
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感傷を自分に許す ひとときを わたしのこころ 息継ぎ必要
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黄金色きんいろの 時が掌こぼれゆく かけがえのない すべての瞬間とき
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心身の限界近けれ いまだけは 母より先に倒れもできぬ
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想い出の ゲームリメイク 夢じゃない 歓喜のあまり ファイアーダンス
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自販機でドリンクの値段上がれども 近所のやつは百円のまま
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大学のキャンパスツアーを担当した 私はずっとこういうのが好き
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夜遅く疲れて帰るその道で自販機で百円 幸せを買う
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バイト先 悩みを抱えた私の生徒 私も実は悩みを持ってる
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