香典は愛ではないと知っている マクドナルドのくしゃくしゃの札
4
約束を交わした小指は細すぎてきみの体を支えられない
4
きみとキスした制服で飛び降りたきみの葬式会場へゆく
5
どうやって救おう? 波に攫われた砂のお城の王子さまなら
9
虫の鳴く夜はわたしのさみしさが少しは慰められていること
13
目を閉じて 期待を寄せてる アナタには こうしてやろう 指弾き
4
くだらなき 人の営み 是非なれど 非をもたらさんとす 蜻蛉に
6
透き通る一等星越しの太陽は地面に着くなり陽炎と化す
9
ろくでなし僕を形容する五文字簡潔であり適切である
7
学生服鮮烈に夏無謬にも影に見えるはその後の暗喩
5
目論見の範疇である仕草にも日夜鏡が練習台
5
名前など分かるはずない贈り物君がくれたもの名前はいらない
6
道すがら食べたことない食パンの味がした気がしたさようなら
5
触覚がないので感じることがない私に恋する数多の人を
3
待ち侘びたあの娘の寂しさやってくるけれども僕はまたもや寂しい
5
難しく考えすぎる方がいいそうでなければ人生ではない
6
酩酊の15時過ぎに春一番向かうところは敵だらけだなと
4
ひっそりと僕らは離れていくんだね mentalスケッチ 向日葵咲かない
14
12年もののウイスキーで優勝する夏
4
この梅雨も相合傘をせぬままに過ぎてしまうと思うと切なく
8
押入れの古いCD聴いており初恋したての私と繋がる
11
わたしたち鏡じゃないし向けられる全部を全部、返すことない
13
努力って実を結ばないその時期に戻る保証を選べなかった
15
私だけ知らない君のみだれ髪 汗ばむ首は夏だからじゃない
8
持て余す暇があったら貰います結果の果実を差し上げますんで
12
アスファルト柄の白線手と足を同時に出して歩くあすなろ
4
西側の窓にすだれをかけたのを無慈悲な西日が嘲笑ってる
11
ため息をついて揺さぶる夢の跡そんな夜には奇跡がおきる
8
ひとときの逢瀬に交わしたぬくもりは背に降り落ちるよろこびの針
9
見上げれば 夏の月夜は 変はらぬが 地球の温度 変はりゆくかな
18