駅近し 電車の音で 朝目覚め 夜は終電 送りて眠る
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目指してた夢の大人になれたかと幼き自分が問いかける墓地
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ゆるせないおまえとなんかこれきりと頬をはたけぬ 時の残酷
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いまいのちを捨てていいなと思ってる確実なのを教えて欲しい
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おのがため怒れぬきみのそばにいたい今日からおれはきみの怒り
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起きがけと就寝前に飲む白湯とオートミールでスリム化謀る
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わびしさに打ちのめされるばかりではないとわかったきみと感情
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息子って別れた父に似てるんだ仕事全力母は置き去り
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あのときに怒らなければよかったと思うこと増えるこれから
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きみの手にクリーム塗ってたしかめる生命線の短きことを
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この部屋に人はきみしかいないから名前を呼ぶなどしなくてもいい
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降りそうな空に揺れてる斑入りの葉風は身体を透過してゆく
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娘とは五十過ぎでも人様に盗られるように不機嫌な母
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浮気とかみんなしてるよ知ってるよ認めたうえで愛をやめない
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「下の名で呼べば許すと思うなよ」きみがにこにこぶつかってくる
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愛を告ぐ エゴだとしても不純でも 今ここにもう君はいないから
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あなたがね幸せならばそれだけで十分なんて、所詮フィクション
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首絞めて死ぬ気もないのに息止めて今だけ自分じゃ無ければいいのに
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耳を打つ 俺宛のような音楽で 白線内にとどまった朝
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うなだれる 駅のホームの若人へ ブルーハーツを音漏れさせる
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本当に消化したいこと溜まりゆく 吐き出すこともできないままで
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気づいたら白骨死体になっていたこれじゃあ貴方に好きとも言えない
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向日葵の朝礼なるやすくっと立ち太陽仰ぐみないっせいに
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流麗な流砂にひそむ龍神に竜騎兵らよ榴弾を撃て
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人目もるむらさきの花閉づべきを 袖ふる人ぞなにごころなき
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白球はくきうに一撃あたふ渾身こんしんの 男児は駆くる青雲あをくものもと
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もう君は彼岸の浜に腰掛けて星を見ているところだろうか
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愛されているとはっきり判るような愛を欲した初夏の思い出
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下の句で世界が反転するような歌をきたい 僕が描きたい
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想定外、いかに想定内として、捉えるか、想像力が、プロには不可欠
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