油蟬暑苦しいが主役来て短い夏の整った感
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普段より 優しくなるには 疲れすぎている 氷水を一気に 飲み干している
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「も」と打てば謝罪の文が予測され消毒液が傷に沁みる夜
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白花を涙で染めている 今日は前が見えなくなるほど泣こう
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ホタル見て 蝉の鳴く声聴いた後 秋の虫たち 産声と泣く
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大凧で 必死の形相 中車の 伝統守らん 両宙乗り
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熱くなれ もっと干上がれ 人類が うだる暑さに メロンは実る
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温暖化 当たり前だと 思うよな クーラーつけて 室外機熱
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ガチャガチャと ネットフリックス 見てる音 時間を潰す 死ぬの忘れて
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エアコンの 効いた部屋にて ドビッシー 聴いてるような 優雅な暮らし
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今はただ メロンにたかる ウリハムシ 爪に挟んで 頭を潰す
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老いて死ぬ ただそれだけの ことでさえ 人は悩みて 受け入れざりし
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老人が 集まる家の 周りには 真夏の日差し 微睡むような
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泣けよ今 我慢したって 人生は 蒔いたものだけ 刈り取る掟
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貧乏が 好きと思った 老いた妻 家が欲しいと ぽつりと嘆く
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薬切れ 鼻水垂れる 容赦なく 惨めなもんだ ステロイドラブ
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炎天下アスファルト行く蟻のごと あともう少し我慢して生き
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海で死に化石になって遠い未来  山から出土してやるからな
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いつぞやに捨てたつもりの我が愛がなぜ蘇る 君の「ありがと」
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道で吐く男を見るも出し抜けの眼鏡の美女で朝は返った
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ちゅら海の中核にある中宮に仲夏をひらく昼光の射す
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遠ざかる 西日惜しさに セミがなく 今、夏が静かに極まれり
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初めての 友と鑑賞 歌舞伎座へ 悲劇乗り越え 歴史の重み
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公園は37度風もなく干上がる川底鴨達歩く
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非生産は罪、と陰へひきずる三十五度の肉の塊
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腹痛のぎりりPMSきたる個人差?知らない、わたしは・・・・つらい
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天に向け矢をきりり放つ手を伸ばす何処までも遠い天に向かって
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休会し 月日は流れ 再稼働 研ぎ澄まされた 言葉台詞煌めく
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外気温体温計の示す数おそろいだねと思わず笑う
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陽に干した布団のように心地良い三十五度の万年床は
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