遊び食べ激しい一歳シミ作る リビングの壁と母の心に
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青空に手を上げ進む小学生 車見守る横断歩道
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妄執の我が我追ふ黒き森 指に触れては消ゆ ダフネの座
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祝日のショッピングモ|ルもしかしてキミに似たヒト見てはタメイキ
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『拙てふも舞ふにことはり求めざる いましが舞ふに 何ぞことはり
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芽の絶えた 行く手阻かる 根の目には 私の歩いた 道の足跡
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みちゆきに同行どうぎやうの人なかりせば おのつひさへいかで知るらむ
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独り行く路傍に去年こぞの花と蝶 あくる年にぞ あはじと思ふ
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夏祭り あなたと浴衣と かき氷 後ろの花火 ハートのかたち
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痩せた手で白きサイコロを振る人の、眼にかかる翳 もうどこにも行けない
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ビールフェス行きそびれたので なんちゃってカリーヴルスト 398円サンキュッパ
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ねこたちは 冷えたあいだに もうふさん 根が生えちゃった 日向ぼっこは?
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この冬・春 りんごもいちごも安くなく お菓子作りまでまわらなかった
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バルコニー デッキブラシで掃除して 中腰辛くも爽快感勝り
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舞う蝶を 目で追いかける 猫の背は 時を静かに 流してくれる
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初夏が来る手ぬぐい首に掛け始む涼暑りょうしょも共に塩梅あんばいが良し
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その気質 持って生まれたものなのか 何かがあってそうなったのか
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去年から 来た初夏風に 混ざってる 懐かし君の ほのかな匂い
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夜の街流れる車列光る川何処に向かうか誰が待つのか
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高砂の松もあはれと思へかし友に遅れて老ゆるこの身を
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青空に 浮かぶ面影 追想す 結婚記念日 独りで迎へ
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ビーナスの石膏みつつ古き時代の作り手思ふ
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朝ぼらけ翠の山に霧の立つ通院のみち山くねり行く
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ガンセンター鯉昇りくる励ましの 来年も逢う指切りをする
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カチカチと 時計は進み いつまでも 変わらぬ自分が 撮られた写真と
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「ただいま」と鸚鵡返しで抱き疲れ ままもいいかな三歳終わる
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いい天気お出かけしよとキミは言う 大丈夫俺はどこにも行かない
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好々爺 看護師さんの前でだけ 家族はむっつり 柏餅食む
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母が住む古いアパート顔出せば まずは座れとミネラル麦茶
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酒蔵の多めの試飲に舌笑ふ ほろ酔ふ初夏の緑の杉玉
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