結婚をしていても子どもがいても鬱病になる人もそりゃいる
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来年さ、仕事辞めるよ。年老いた母に真っ赤なスイートピーを
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あと少し 寝ると休みが 終わります 起きたら明日 寝るまでは今日
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真っ白な壁にしばらく影として存在してみる本日快晴
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22時過ぎのLINE まさか!と開く 朋遠方より送る有り/『学而』嬉しいけどね
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日輪が地磁気を揺らし水鏡につらなる苗に波紋をのこす
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初がつお 昨日食べても 初がつお 戻ってくるまで ずっと初
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デカルトよ 落書きしたのは悪かった 踏み出す手足を君も笑うか
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日傾くビーサンダル着で始動する「定休日」だけが僕らを正す
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フローズンヨーグルト(いちご)にて今日の〆 でもほんとはね プレーンが好きさ
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チャペル◯、ドレスが✕で十数件 君の隣で過ごす幸せ
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特別な春の記憶に咲く花は棘/密として我を離さん
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ほつほつと扉の前で春かおり 白マスクとる手が逡巡す
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初春の市役所で待つ二時間半 人生転機の順番はまだ
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輪廻 信じていても夢で会う祖父の手のしわいつもの作業着
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家康の木像おろがむ小さき寺光秀作と謎めく言われ
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一瞬の勢いで押す削除ボタン「-1章-あなた」から栞を外す
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歓談の順番待ちに追われけり 我知る君はほんの一部
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月が綺麗の返信をくれ とか言うから 2時間ひと文字もうてず
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交差する直線は二度交わらぬ 平行よりも時に酸っぱく
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ぬるま湯のなかでいつかの羊水の記憶をたどりあの日に帰る
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苦しみを声に出したらぬいぐるみ投げ飛ばしたよ ごめんね
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いがいがをとろうと舐めたはちみつに願いをこめるちちんぷいぷい
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引っ越家出してふた月ぶりの実家では食べたことない献立が出る
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この恋に執着してるわけじゃない ケジメをつけて終わりたいだけ
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そばにいて そんな言葉が出かかって 飲み下してく さみしいの雨
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呟く「何者かになりたい」ビジョンだけは立派 口だけ 欲だけ
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とけていく 悲しみすべて あたたかな 布団の中で 明日を夢みる
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星すらも 見えぬ夜空を 眺めては 早くも明日の 朝日が恋し
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夜の空 我が身に染みて 吹く風に 微かに混じる 石鹸の匂い
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