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真夜中に ふと目覚めては 寂しさの 風吹き抜ける 心持て余す
8
宵帳
茅蜩
(
かなかな
)
と鳴く樹々を背に泣けない虫を愛しく思う
14
この残暑に「煮物がしたい」と母が言ふ 「熱中症」と単語で返す
10
疫病に蝕まれし日通り過ぎ社会復帰!とシーツを洗う
5
2割引きの菓子パンで朝をはじめたる 味は割引になってないから
15
言えぬこと言い足りないこと胃に収め大和撫子のふりをしてみる
14
ソーダ水 氷の隙間泡の影 みどりに浮かぶ白い夏雲
2
750
(
ナナハン
)
で 八月の砂 駆け抜けし友 入道雲立つ バイクに散った夏
4
七夕のかへる衣に風吹けばいとどうらみやたち増さるらむ
2
七夕の別れの涙落ち添ひて露置き増さる軒の梶の葉
5
渋滞の車窓の子とふと目が合えば 互い手を振る アア、繋ガッタ
6
カーナビの知らない道をカーナビはライ麦畑走ってる気で
5
流れさる 景色ばかりを 見ていたから 星がこんなに 増えてたなんて
18
夜
(
よ
)
もすがら
寢
(
い
)
の
寢
(
ね
)
らえぬに
短夜
(
みぢかよ
)
は うちつけなりて明けしらみゆく
2
ビアボールなかなか奥がふかきもの 日本酒もワインも のんあるがあるのね
3
「様」付けで呼びたいキャラはオスカル様 年齢
(
とし
)
がバレるな ベルばら世代
3
カシャカシャといふ音なにかと思ったら ねこがねこストラップを弄び
2
まえよりも うたがへたっぴ エモたらず ふまんながらも しあわせなのか
8
あの夏は うだる暑さに 疲弊して 君の声さえ 溶けて消えゆく
4
新学期 姿を見れば 夏休み 思い出光る 顔が並んだ
2
新学期 小麦に染まる 友見つけ 白い自分の姿を恥じる
1
迫り来る 時間見つめて 止まる手に 母の怒声で 現実戻る
3
夏休み最終日には大慌て 駆け込み乗車 老け込む夜に
1
階下降り 籐ラグ涼しや 虫のこえ 音痴が
一匹
(
いちひき
)
耳も
耄碌
(
もうろく
)
8
室外機運転音を良く聞けば上手く混じってケラの鳴く声
5
四弦が轟音絡むステージに激情撒きて躍りだす四肢
4
気づいてる? 上手くいくのは初めから想いあってる2人だけだよ
4
「予後は半年」教科書の通り逝く 最期まで真面目な母でした
9
弱りたる金魚を最期は我が家でと三百円で持ち帰る夜
11
彼の人の 奏でる
音
(
こえ
)
は粒々と 天より注ぐ流星の如く
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