不安定 種はあちこち 潜んでて 発芽の時期も ばらばらすぎて
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真剣な眼差しをして三歳は 初めて剝いてみるゆで卵
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「クマみたい!」とうもろこしの欠片さえ 娘にかかれば動物園
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神様がインクを垂らして完成す どの猫の染みも愛しくて笑み
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冷蔵庫ペットボトルのレモネード 日付うっかり 手前に手前に
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せろとにん にっこうよくは きもちよい ねこもあさひを あびてしあわせ
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散歩して 蔦う木苺 赤き粒、 サシガメ見つけ、そっと離れる
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夏に死ぬ美しい詩を崇めてた人と蝉との区別つかずに
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お昼前お堀のそばにイタチの子 寝ずに徘徊 反抗期かい?
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また不正 国や会社の信用が失墜すること分かってたはず
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天国へのホットラインは未敷設のまま片側で輻輳してる
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風景を切り取り描くだけの世界では僕の罪だけ消してくれ
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太陽の当たるホームの白線が塗り替えられてもう夏がくる
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潔く言葉少なに去る君の 嗚呼後ろ髪つかみ損ねて
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自分では 生育出来ず バラの園 他人ひと庭覗き 不審者ギリギリ
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昔から 育てる植物 全て枯れ 幸福の木がトドメを刺した
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伝令を務める球児さわやかに記録に残らず記憶を残す
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ああ あれは貴方だったのですね ともに待ちましょう あの若者を/ さいおんさまへ
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この恋に、もしも値打ちがあるのなら 、もらってくれよ、金はいらない
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何かひとつ諦めること見つけたら おさまりつくこと案外多し
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愛なんてとっくにないのどれくらい一緒にいたか数えてみたら
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飲み会の算段ぐらいしかできないが 悩める友よ また近く会おう
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友くれた ぶら下がりねこのスプーンで 朝をはじめる カフェオレと共に
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ねえ、流れ星に祈らなかったよ 願いが冗談になったら嫌だったから
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澄んだ空花に水やりするように胸に注いだ空気いっぱい
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かなしみもつらみもすべて駆け抜けてゆらぎにのって踊ろう皆で
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かなしみの垂れる起源はどこにある高い天井見ながら涙
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ほしいものすべてもし手に入れたならそれそれとしてそれからにげる
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振り落とす雫を眺め閉じた傘みたいに人を見てさようなら
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昭和レトロをスマホで撮ってプリントにしたくてちょっと遠く銭湯
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