山道の木々の隙間に斜めのしゅ 射して秋色 染まり広がる
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しろい羽根いちまい残し鳩は逃げ早鐘打ち続ける心臓
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ショックで心の整理もつかぬまま思い出ばかりよみがえる今
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六年間お世話になったヘルパーさん今月かぎり退職される
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連日に熱にうなされたる地球ほしがようやく平熱の風を吹かす
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全部意味あることだって思うから今日の風にも名前を付ける/題『名』
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どの夜が正解だったの月明かり虹が出るとは知らなかったの/題『夜』
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深い森のような緑のマフラーは完成することなくほどかれた/題『森』
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聖飢魔Ⅱ信者と言うと引かれるがカンケーないね今も聴いてる
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3日前この地は37.5℃ 急にやって来た秋に少し戸惑う
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人生はわからぬまさかこの歳でこんなに不味い鯛焼きに会うとは
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炭酸の たち昇る泡 白き陽を 纏って咲いた 水中花火
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四歳の「遊びに来てよ」誘いありあらま残念今旅行中
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秋ツバメ まさかお前は あの海に 投棄してきた 夏の残像
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遠くより人混みの中土産買うママを見つけてヒャヒャヒャと笑う
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肉球でポンポン やさしい猫パンチ「いっしょにあそぼ」「これはにゃーに?」
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となりから大きスリッパ履いて出てゲラゲラ笑う二歳愛おし
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秋晴れや ドイツビールが相応しき 乾杯の歌 いまから楽しみ>オクトーバーフェスト
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顔洗う水道水の冷たさは季節の移ろい告げる使者かな
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背番号うたかたの六千と百十一番kajin/6111 万葉ぶりの現代短歌ぞいいねはもちろんフォローよろしこ
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人と街 遠き近きで 移ろいで  風に尋ねる 秋の訪れ
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何もかも言わぬが仏とヒガンバナ黙認しつつ復讐をまつ
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冷雨つづき右膝の痛みぶりかへし秋彼岸にしてストーブを焚く
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君がため 切ったよこの髪 バッサリと でも私には 似合わないや、
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「千秋楽」行司が言えば 吹く風も 急に秋めく 両国界隈かいわい
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空を見て 居場所を探す 種子なのか 進化や退化 繰り返し生く
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濁流が十五歳を呑み込みぬ瓦礫を探す爺たたく雨 \ 能登
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里山に 秋が深まる 神無月 柚子が黄色に 色ずき香る
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秋雨の 降りし今宵の 食卓は 熱々大根 フウフウ食す
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肌寒く 秋風が立つ 夕食ゆうげには 湯気立つ鍋が 恋しい季節
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