立春の朝の日差しは透明で隣の家の屋根の雪落つ
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鬼の面つけて変身いざ出陣それは昨日と知った立春
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節分に 『泣いた赤鬼』 思い出す 背中に哀愁 去りゆく青鬼
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犯罪で手が汚れたらなぜ足を洗って更生できるのか謎
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福は内 入り忘れた福居ぬか 寒波来る故どうぞお入り
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同じやつ?忘れたころに襲われる風呂出たあとにぺたりカメムシ
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迷ってる痛がっている逃げている三本立ての夢から覚める
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丸餅に砂糖醤油ときな粉かけハーフアンドハーフ召し上がれ
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忘れられ裏庭に咲く冬薔薇のピンクの花に氷雨の降れり
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もち米の蒸した香りが漂ってブザーを待てず鳴く腹の虫
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雪山で遊ぶ子の髪びっしょりと汗で濡れてる夏を先取り
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寒雀 陽光浴びて賑やかし 寒風に耐へ春を待てをり 
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節分に歳の数だけ豆を食へと言ひける親の声のなつかし
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いつぶりだろう 背伸びをしたくなったのは
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いつか好きじゃなくなるのならその時が今来てほしい 好きを後悔する前に
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苦しさはいつも参考書の形
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死にたい夜に抱きしめて また夜が明けるまで 息をしていられるように
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この豆が二十五粒になる前になんとかしないと死ぬしかなくなる
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カセットをセーブしないで抜くように価値のなかった人生でした
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深夜までこまい作業を終えられず午前二時前空腹に病む
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恵方巻き 食べながら向く 方角は 4パターンと 初めて知った 
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いつも通り ゴハンたべてる ちま猫ちゃん さっきの「きゅーーーん」は 寝ぼけただけね
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エレベーターあべのハルカス展望台デートの場所はやはりここだな
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どぶろくを駅の名店街で買う綺麗なデザイン君に贈るか
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新たなる年を迎えて喜んだ時は昔か過ぎし日怖し
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新古今中古の文庫手に入れて助詞と助動詞じっと眺める
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友達と喧嘩別れの時が来てまた新しい縁が来るかも
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寒椿もうすぐ雪も消え去って微かな日差しが差す季節来る
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切り刻むような寒さはあの時の耳をかすめた悪口のよう
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春先の寒さが抜ける時を待つ姉の婚礼バージンロード
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