奥方のにかぎろひの湯気見えてかへり見の間なくツキ傾きぬ / 人麻呂 meets 令和
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泣きながら 笑うわたしを 誰もしらず 鏡に放つ 私の狂気
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風鈴の音が混ざって夏の空やけに重たい夜が近づく
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目的地は決めずにただ出かけたい 恋人繋ぎであなたが隣で
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部活後に 友とだらだら 長話 気づけば空に 涼月ひとつ
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埋まってた 夏の予定に 感づいて 作り笑顔で 背中を押した
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ヒマワリのうつむき加減で朽ちてゆく姿はいつもモノクロ写真
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清らかな植物のごと指のばし爪を彩る娘の真夏
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夜明け前眠りし吾子の指赤し明るきあはひに夢の通い路
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光差す 向日葵色の 海を行く 麦藁帽の 君に手を振る
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ひとりきり鳴いて鳴いても夏蝉のいのち尽きても結べぬ恋だよ
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足元の 最後の火玉 見届けて わずかな煙 月へと消えて
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夜太鼓 五尺五寸の おのこの背 ただに打ち抜く 実らぬその実
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涙声の朋友ともから急に電話鳴り 一緒に泣いたり すこし笑ったり
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日盛りの 緑したたる 蝉しぐれ 麦藁帽子に 青いリボンを
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先に待つ罪をあがなう炎天下きみより僕がそれを負いたい
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助っ人で来たのに邪魔をした私 アイスクリーム奥歯にしみる
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「オレも行く!」幼い発音懐かしすぎて私も真似た「オレ…」ああ、いや、こっち見ないで、オレ
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「暑い」など口に出すのも嫌だけど断る口実「暑くて無理です」
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泣き濡れた数であるなら歌意なのか泣けなかったな君で詠めない
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連鎖する遠吠え 月はいぬだけに出航時刻を告げて飛び立つ
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虫避けて 曲がるまがる 帰り道 夏の冒険 開幕の合図
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朝ラッシュから解放されし 羽根を伸ばす少女達の 夏休み
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私には寒すぎる設定温度 となりで君が寝てくれるよう
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7月が やっと終わりに なる頃に こんな温度じゃ 8月地獄
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正直に 生きてきました その結果 中古のパッソ 11万キロ
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平和とか 友愛だとか いう割に 本音は違う 欲でドロドロ
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軽くなる 心のキズと つらいコリ すっと楽になる ツボ医院まで
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仕事上 怒鳴り続ける ことなんて ありえないよね 間違いだらけ
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怒鳴り声 聴いて喜ぶ 人なんて あんまりいない 全然いない
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