いま言った言葉に嘘は無いけれどあなたにだけは言いたくなかった
9
幸せになりたい とかじゃなく君と同じ鍵穴回したかった
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この本は何時読んだのか忘れてたとても悲しいお話だった
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バーゲンのプチプラワンピ衝動買い 酷暑に萎える気を持ち上げる
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サイレンで道かき分ける消防車ダックスフンドも見届けている
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「プール行くよ」 俄然躍動、我が息子 塩素は毒だと誰が言ったか
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紺碧の空をキャンバス一条の飛行機雲が夏を彩り
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日焼け止めはプールの隅で抱きついた母の匂いだ 夏の匂いだ
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汗だくの缶ビール撫でる扇風機 ゆるゆる過ぎゆく夏の夜かな
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路地裏に巡らす浮名秋の仔をそこな御許よ我に賜はん
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夏なのに指のささくれひどいのはああ親不孝にじむ血を見る
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ひとづまと おそばをたべた そのむかし 相席おじさん めくばせかわす \なつのおもいで 無罪︵笑︶
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囲む木々蝉声せんせい注ぐどこからも情緒も淫ら恥じればいかが
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美しい 語彙の源泉 かき混ぜて 生まれ流るる 無数の泡沫うたかた
9
バスを降り 紅き白粉花オシロイバナ香る 蝉時雨と 夕涼みの月と
20
なつむしの エコー︵残響︶ながなが 尾をひいて みみなりみたいと ひるねにおちる
20
消えた火から 煙が月へ 昇るなら ずっとみていよう 満ちても欠けても
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僕だけが 「清く 正しく 美しい 仮面」を剥いだ 君を知ってる
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あの人と巡れる夏は自らをずるけられない私のいる夏
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多様化の 社会の波に 揉まれても 自分の足で 歩み行きたし
20
一時間 クーラーべやで ひえたから やきそばくらいは いためてみせる
20
もともとは我ら他人さ違う人ちがうからこそあなたと生きたい
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あついねと 乾杯し 楽しいねと 目配せす
3
木陰にて 思い出したる 風のおと  ただひたすらに 楽しき日
5
米よりもケーキを炊いてばかりいるアイデンティティ崩壊の危機
7
この最も暑き夜にこそ ポトフする トマトポトフと 敢えて呼ぼうぞ(蒸し大豆いり)
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宝くじ売り場に並ぶ人の顔みんな真顔で誰も笑わず
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(おおきめの)保冷剤 タオルでつつみ 扇風機ウラ 冷風扇には およばぬけれど \とけたしずくの蒸発熱も
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終業式 終えて駆け出す小学生 綿アメ千切って高し夏空
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おいなりに ばけそこなって おみそしる なつのおあげは あしはやい \あぶらあげにカビ
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