一月半ひとつきはん を置きたりて おいでまし ピンクのイブよ さあ出番なり
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前触れがPMS 一日だけしか無かったよ ホルモンバランスまだ乱れてる
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風通るグリーンベルトにさわさわとちがやの作る波を見ながら/すすきの小さいの
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キッチンに香り漂う初夏の午後リンゴといちごコトコト煮込む
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人生にも棚にもあそびは必要結束バンドはゆるめに巻ひて
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万が一大企業ならリストラのターゲットなり四十路営業
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恐竜のチョコは出オチでホッピングシャワー持て余すサーティーワンアイスたんじょうびケーキ
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穴倉の小動物を堪能すネズミ嫌いの兄のゐぬ間に
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上の子と妻とわかれてベビーカー押す坂の上ペンギンがゐる
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真夜中の動物園は羊水に浮ひているなり中島みゆき
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中央線いつもの車両遠足の小学生が鈴生りである
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名の知れた地元企業が身売りする栄枯盛衰いつの時代も
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曇天の月曜の朝重い空気を吹き飛ばす子どもたちの声
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薬指あなたとわたしの合言葉 おんなじ色になりたかったよ
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気力ない力が出ないしたくない頭も痛い精神力よぉ~
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タイル目地デッキブラシが折れてから見ぬふりすれば黒黴の園
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公園に あなたと描いた マルとバツ 何もなくても 何でもできる
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デニーズで糖質控えめランチする 何年ぶりだろ、ふたりの熱海
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早朝の 公園に集い 体操す ほとんどの人 高齢者
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半袖も汗ばむ初夏の夕涼み 惜しみなくゆるりと歩を運ぶ
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レアものの枕詞を覚えても 使わぬままに忘れてしまう
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公園の葉陰に三つ咲き初むる白の頭巾の山法師笑む
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悔恨を焚べた炎で打ち鍛え研いだ刃紋は凪いでいたから
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サバンナの母乳の成分表観れば果てなき夜泣き越えてみせよう
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生活の全ては人に教わった掴めるようにくだものを切る
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この部屋は蛸壺よりも広々で玉蜀黍とうもろこしの抜けた穴ほど
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目覚め良し小窓の外より聞こへくる鳥の声にて起こさるる朝
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菜園の 丸々太った新玉の シャリシャリ食感小気味よし 
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少しだけと思っていたのにいつのまにかずっとあなたを想い続ける夜
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今日が終わることに安堵して息を吐くなんでもない日のなんでもない夜
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