朝寒く昼は暑くて夜寒い着る服悩む神無月の日
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もしかして 違和感醸す炊飯器 開けて嬉しき 「栗ごはんかよ」
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ロクシタンの石鹸で足を洗う俺の生活の爽やかな部分
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秋になり 暖かいだけ それだけで 幸せ感じ なんだかチョロい
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冬ごもり晴るる野辺にし出でくれば わつとふきたうあまたあらはる
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花ぐはし桜降る夜の山々を越えさりくればあとははかなく
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白秋も利玄啄木牧水もわれは愛してやまずなりけり
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祭り済む小さき村に笛の音の聞こえた様な秋の風吹く
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時雨しぐるるやこの秋初の寒気らし暖房オン・オフ老い二人いて
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砂浜で夏の化石を掘り出して 湿気た花火を手に泣いた夜
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壁がある ならしたを掘って その先へ 変なことしか できない脳に
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全部でまかせだ それじゃあ、君を信じた僕までもが でまかせじゃないか
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一票を400万円との試算あり投票率の低さの損失
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何事にも感謝を告げぬ昭和人しつけせぬまま半世紀過ぎ
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靴下も もそっと厚手に変わる頃 深まりし秋 履きて感じる
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明日こそ死ねますように、恐竜の絵を描きながら天井を見る
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チョコバニラのふたあける朝この星の今もどこかで人が殴られ
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引き潮の終わったはずの恋なのに またよせかえす切なさは何
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火傷みたいに熱い苦しい痛い十三歳のからだが叫ぶ
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悔しさを 認めたくない 一心で  何度でも打つ 剣道場
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ごめんねとその一言が聞けたなら許せることはたくさんあるのに
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朝寝して 温め直す筑前煮 具の歪さに苦笑いする
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枝々をられし銀杏いちょうの木にふるさき新葉の健気な黄色
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秋の空 思わず足を 止める人 美しいもの 写真に収め
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来た道を だらだら下る ようなもの 得てきたものを 捨ててゆくよう
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この歳で 酒を仰ぎて 山登り ゴルフ興じる 人を嫌いて
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高潔な 人を仰ぎて 俗悪な 人を嫌いて 未だたじろぐ
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生きてきた 道を思いて 振り返り 進歩なきこと 甚だ至極
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俗悪な ことを軽蔑 する割に 他人には言えぬ 下品な趣向
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もともとが 人間界に そぐわない 気性のゆえに 苦労は絶えず
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