寂しさを飲み込み僕は鮮やかな花束だけを渡すのだろう
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さらさらと 木々のささやく 音がして 思い出詰まる 弥生過ぎゆく
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ありがとう僕もうあなたなしだって生きていけるよさよなら のリム
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前かごの蛙よ線で流れてる世界は見える?僕が神だよ
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もふもふよ なぜにこんなに愛しいか 今夜も「ぱじゃま」を毛づくろいしてる
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あのとき渡した百数十円今は足りない自販機のコーラ
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咲ききればられる定め古桜ふるざくら何も言わずにただ咲き誇り
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晴れの陽を見ずに散りゆく花びらはどこか私と似ているみたい
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美容院 一万三千 かかったから 二時間無料に 間に合えと小走り
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人ひとり死んだくらいじゃ歯車が狂いもしないただしい社会
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「好きです」と言われたあの日、君のこと、きっと叱ってやるべきだった。
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春のの そほ降る雨の冷えぬれば さくらかくす雪となるらむ
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もう会えぬ 会うこともない 悲しみを 覆い隠して 生きてゆくだけ
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うなだれて墓標のように立っている大きな男の小さな背中
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咲き誇る桜並木を通り抜け励まし貰ふ通院の朝 /夫
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冬物の上着羽織って散歩するなぜ寒いのか弥生の終わり
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花の香に包まれて笑む幼な子は幸せ届くタイムトンネル
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人の世はみぎわに築く砂の城 さらえる波もやがて泡沫うたかた
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アメンボにトンボにカエルも歌いだす 愛しきイエス我らはここに
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ヒーローが目の前にいる興奮とそれを分かち合える喜びと
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民人に奇蹟は起こるかと尋ねられヨハネは天を指して笑った
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風に舞う一枚の葉の身の軽さ翻弄さるるは生まれあわせか
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鏡の中日焼けのシミが今さらに頼もせぬに証拠提出
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満開の桜の下で さえずりをBGMに 一人お花見
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3月の 最後は風が ひんやりと ココアを入れて 呼び戻す春 
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私はサボテンだからと言い聞かせ ハグせぬ皆を恨まない 崖
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平凡を斜めに睨み育ったが居場所ひとつも凡に届かず
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夕暮れの桜吹雪を切り裂いて飛ぶ白球に胸を躍らす 
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夕立に濡れたからだで鍵を閉めふたりの夏が動詞に変わる
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百やって 一上手くいく ことならば やってみる価値 あるんじゃないか
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