図書館は商店街を抜けたあとまだかまだかと言う距離にあり
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隠し事俺に言うなよ耐えたとて月曜日には言ってしまうぞ
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上下する気圧も気分も落ち着かせ湖水のさざ波リズム借りたし
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キミの言うみんなの中にいつも俺が入ってないのはなぜなんだ
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白陶に現るドラゴン吉兆で身軽な僕は如意棒を得て
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アスリートの妻になったタレントが取った資格を自慢しだした
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叫ばない泣かない君の心にね触れたいけれど何だこの城壁
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紅葉こうようの小春 紅白見頃なる薔薇 故郷ふるさとの母を想ひぬ
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言の葉で 連想されし 情景は 心の中で かたどられゆく
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三日月は 今夜も僕を見下ろして こっちにおいでと 導かれるやう
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賞味期限過ぎた納豆食べるよね
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あんぱんもシフォンケーキもクッキーも何でも美味い小さなパン屋
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ぬばたまの 夜が朝連れ 去りしあと 龍が駆け抜け 東雲しののめと化す
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哀しきは 飛び立つ鳥の の音よ 暗き小部屋の窓に立つ我
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たこ焼きを冷めたベンチでふたりして息だけ吐いてまだ食べてない
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あなたなら採血もOKエレガントきっとたくさん練習したね
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身の回り 同心円に 物を置く チューネンの孤立国、ここに
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朝起きて生きているぞと思ってるラッキーな一日がまた始まる
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昔はさ俺も秋に好かれてたこっそり覗いてにひひと笑って
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明日には妻が戻ってきてしまふ 万年床を畳まにゃならぬ
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女房が実家に帰った三日間 万年床の自由を味わう
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今年また一昨年編んだ糸を解く徐々にニットは小さく変わる
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卵黄を使うレシピに紐づけるシフォンケーキのつくりかた 秋
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テレヴィのなかの日の丸にほほゑめる首脳に光差す優生卵
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割烹の女主人に咎めらる丈夫の二尺上の崑崙
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ナミビア沙漠われゆかねども紺靑の美靑年など泛べ塩湖に
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料亭「花月」女房出奔しエルサルバドルより見し都市砂漠
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雨音が鼓膜の奥へ流れこみ私の中の水は澄みゆく
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青写真が今の君を写し出す 訪れたのか未来は既に
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歌の宿命とはおもふ有明の月蝕旅館から仇敵の余名出づ
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