パンのため老いの囀ずり始む朝 草抜く背には夏日が待てり
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頭出せ 言われただけで 怖くって 泣きわめく声 父のゲンコツ
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数多あまたある旨きものの誘惑に太鼓の腹が天下にとどろく
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カラスこそ朝告鳥と呼びたもう 黒きがみせる日の出の気色けしき
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復職へのカウントダウンが始まった嫌なあいつはまだいるのに
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いつからか 誰にも言えない 語れない 寄るべなき夜を 歌人の友と
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名を呼ぶも返事せず薄笑ひする患者ゐて理由わけ量りかね気味悪くさへ
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整然と 植えし青田の早苗見て 今年の作柄できに胸膨らます 
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私って 化粧落とすと ブスだよね| ひまわりも夜は 下を向くから
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ぽちゃんとかちゃぷちゃぷだとか少数になったときだけかわい子ぶる水
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グーグルに負けたくないと両親はヤフーを使う けれど、グーグル
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古傷の痛む深夜がまぶしくてぼくは知らない車をぶった
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本棚のスキマをとっておくいつかきみが返しに来るその日まで
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散歩へと出かけた足がじわじわと買い物になる年頃になる
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真夜中に窓の輝きゆらめいてトントントンだツーツーツーだ
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潮の香が満ちたこの土地で育ったの 息を呑む宵 光る明星
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歩きかたも眠りかたも違うきみと同じ時刻を見ているふしぎ
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そちらの桜はもう咲きましたか こちらではようやく雪解けです
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月が綺麗だね 電話越しに語った日 ベタだけど死んでもいいわと答えたくなった
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現実だった、でも確かに幻になりつつある
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掴もうとすればするほどに実態が無くなる。 私の中で、そう、カタチが変わってしまう。
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朝伝うの匂い 溶ける外気の質感
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平穏は質素であれど訪れる恐怖も歓喜もしづかに包む
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母さんは価値が無いから捨てられた『価値』の目利きは父さんがした
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冬よりも 充分なほど 暖かい はずの温度も 寒いな今日は
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いつの日かカネの力を知るときに決して心を売ってはならぬ
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幸せで散らかった部屋に春の風 ぬるい麦茶と午睡見学
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明日こそポジティブ短歌詠いたい 灯りを消しておやすみなさい/もう明日でした❢
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早とちり 夢に見ている再会を 覚えてるのは 私だけかな
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ごめんなさい、あなたは私の人生じゃ所詮レフ板止まりなの
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