やさしくて甘い思い出だけ食べる 金平糖が弾ける夜に
10
鶯の春へと帰る声のして振り返り見る紫陽花の花
16
庭隅に黄のガザニアの広がりて 初夏の陽と風 吾も受けて佇つ
6
本能がくすぐられるか三匹の愛猫窓辺で蝶を目で追う
6
木々の間にいつしか苔はむしりけり黄色い花を静かに咲かせ
9
悪業を重ねる民はまたいつか苦果を受けねばいいがと思う
12
冬眠より覚める間も無く受難なり用水路に浮く息絶えた亀
18
真っ黒いふにゃふにゃバナナ不味そうと思い余ったカレーに入れた
11
特別で何気ない日々数えては 歳と幸せまた増えていく
8
「詩」という 得体の知れぬ言の葉の魔法を今日も 味わい尽くす
5
金曜を終えて一息ついてまた 夢を叶えるための旅路へ
7
寒暖差昨日夏日を分けてくれ今朝の寒さにストーブを焚く
18
ラフランスゼリーはどこと冷蔵庫ピィピィ言わせ探し続けた
15
ぴちゃぽちゃとまた始まった水漏れにめんどい場所の嗚呼ああ⋯止水栓
12
あさひかわ 菓子博なんか やらないで 饅頭一個 しか食べられない / PR短歌
20
汗ばんだ初夏 心地よき通勤バス 弱冷房の気遣い嬉し
20
パンのため老いの囀ずり始む朝 草抜く背には夏日が待てり
20
頭出せ 言われただけで 怖くって 泣きわめく声 父のゲンコツ
5
数多あまたある旨きものの誘惑に太鼓の腹が天下にとどろく
25
カラスこそ朝告鳥と呼びたもう 黒きがみせる日の出の気色けしき
11
復職へのカウントダウンが始まった嫌なあいつはまだいるのに
6
いつからか 誰にも言えない 語れない 寄るべなき夜を 歌人の友と
17
名を呼ぶも返事せず薄笑ひする患者ゐて理由わけ量りかね気味悪くさへ
4
整然と 植えし青田の早苗見て 今年の作柄できに胸膨らます 
24
私って 化粧落とすと ブスだよね| ひまわりも夜は 下を向くから
5
ぽちゃんとかちゃぷちゃぷだとか少数になったときだけかわい子ぶる水
7
グーグルに負けたくないと両親はヤフーを使う けれど、グーグル
4
古傷の痛む深夜がまぶしくてぼくは知らない車をぶった
4
本棚のスキマをとっておくいつかきみが返しに来るその日まで
6
散歩へと出かけた足がじわじわと買い物になる年頃になる
4