テーブルに着けばいそいそ猫が来てとぐろ巻くので脚に絡める/おっ、あったかいぞ
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人びとは 縦横無尽に 行き交いて ひとりたたず 駅コンコース
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帰りつき ねこたちのおひる カリカリと 食む音がする 我はあとで良し
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柘榴石ガーネットを溶かしたようなドロドロが我が体から出るのを見てる/採血
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スケジュールアプリに「予定はありません」と言われて少し狼狽える午後
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二郎系野菜増し増し全部のせ千円で釣り出るおそろしさ
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大丈夫 朝起きれるし 大丈夫 大丈夫だよ 大丈夫になるよ
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心電図MRI胃カメラとたらい回しの年もはや長月
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パルティータじっと聴き耳たてるとき生死の畏れ密やかに消え
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お着物でひとりマックにいらっしゃりスマホすいすい見つめちゃダメよ
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漂白の人にもやがて容赦なく冬の寒波が襲来するわ
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中性脂肪 またまた下がり 49(笑) ちょっと気を良くして シェイクなど飲む
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死んだあと、きっと世界をこう見てる。屋上の景色。羽はまだない。
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幼子が私の本見て顔を見てにっこり笑いパパと去りゆく
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タチバナも黄にむる冬隣ふゆどなりかな 渡り鳥のさへづる公園
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おい寒波、来る場所間違えていないか? 財布の中が極寒なんだが。
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車窓から川面を見たる少年の眼に写る煌めきよなほ
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浸りつつ恋は流れて一人きり革命かけて明日へ駆け抜け
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園児とは思えぬ画力のペンダント 気泡は目となり恐竜動き
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全ての恋は幻と 君と結婚してさらに思う 寝顔を眺めて
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明日から 雨だと知れば 青空も 日差し富士山 より愛おしい
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「三人で来たかったね」と逝きしを偲びつつ行くコスモスの道
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「冷たいね」と、握ってもらう口実が欲しくて隠すホットココア
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雲有れどやっとの晴れ間この日差し何かせねばと布団を干せり
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妹は十年前に夫亡くし気楽な二人気ままな旅路
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一人では旅など無理と思いしが末のと行く秋の湯めぐり
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小学校の 金木犀モクセイの香 胸いっぱい 吸い込み歩く いざ病院へ
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佳き人の笑み語らいにひとときの霞みとなりし惜別の歌
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昨今のクマの被害がグロンギと重なるクウガ二十五周年
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先輩と付き合うことはナシらしい終わった後に聞くそもそも論
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