守られた形見ひとつを寄る辺とし無人の傾斜降りゆきなさい
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あなたには記憶に失せた言葉でも今朝方私それで目覚めた
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やっとやっと蕾がついた金木犀 鼻くっつけて秋確かめる /待ってたよ
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アスターエゾギクの 花を眺めつ 飲む酒も 甘美なるかな 一人酒なる
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届かない手紙抱えていつかゆくあなたの元にどうか読んでね
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グッドバイ抜け殻の私 ハローハロー私色の影ゆらゆら揺れて
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毎日のひとつひとつに至らない私がそっとサヨナラしてる
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透明のきれいな服を着るきみは僕を狙って逃がさず食べる
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血は巡り鉄に駆られて渦巻いて呪いのよふに命を喰らい
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すれ違うことがあってもお互いを気遣い合って笑顔でいよう
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図書館は商店街を抜けたあとまだかまだかと言う距離にあり
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隠し事俺に言うなよ耐えたとて月曜日には言ってしまうぞ
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上下する気圧も気分も落ち着かせ湖水のさざ波リズム借りたし
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キミの言うみんなの中にいつも俺が入ってないのはなぜなんだ
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白陶に現るドラゴン吉兆で身軽な僕は如意棒を得て
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アスリートの妻になったタレントが取った資格を自慢しだした
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紅葉こうようの小春 紅白見頃なる薔薇 故郷ふるさとの母を想ひぬ
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言の葉で 連想されし 情景は 心の中で かたどられゆく
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三日月は 今夜も僕を見下ろして こっちにおいでと 導かれるやう
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賞味期限過ぎた納豆食べるよね
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あんぱんもシフォンケーキもクッキーも何でも美味い小さなパン屋
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ぬばたまの 夜が朝連れ 去りしあと 龍が駆け抜け 東雲しののめと化す
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哀しきは 飛び立つ鳥の の音よ 暗き小部屋の窓に立つ我
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たこ焼きを冷めたベンチでふたりして息だけ吐いてまだ食べてない
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身の回り 同心円に 物を置く チューネンの孤立国、ここに
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昔はさ俺も秋に好かれてたこっそり覗いてにひひと笑って
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明日には妻が戻ってきてしまふ 万年床を畳まにゃならぬ
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女房が実家に帰った三日間 万年床の自由を味わう
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今年また一昨年編んだ糸を解く徐々にニットは小さく変わる
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卵黄を使うレシピに紐づけるシフォンケーキのつくりかた 秋
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