39度あわい意識の川べりで言葉が増殖する吐き気がする
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ガラス玉のなかに一ぴき魚がいる 固体の海では泳げずにいる
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寝ながらもあれこれ迷い詠んだ歌目覚めと共にすべてデリートDelete
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火を囲み 「春の匂い」を 語る君 知り得ぬ言葉に 黙るばかりで
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「未来など 見えぬままで」と 語る声 冷えた指先 月影にゆれ
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いつの間に遠くに去った君の靴まだ下駄箱に残っているのに
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土地ごとの林檎の酸味色々で強弱あるのはコーヒーみたい
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行く人はリュックにポシェット今風の前抱きリュックにななめ掛けカバン/トートは極少数派に
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細胞の中にしか海がないきみへ大丈夫きみの心は波だ
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一番に似合う言葉が見つからず心に静かなるリスペクト
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風に舞う楓が皐に降り積もる臥竜の松に色を添えたり
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風邪引くとくじらの声が聞こえる気がする苦しいけど窓開けてみる
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夢を見ることなど至極退屈で彼女は独り老いていった
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夜明け前 南、南へ 放たれた アルプスの山 切り裂く矢よ
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三つ目ガード あなたを見つめ 都市のバイパス てらす朝日の 一部となれ
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ダイエットせずともするりと軽くなる わたしの身体はまさに空蝉
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歌よりも懸案事項浮かびきて今年もおわる刻一刻と
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忍ぶ冬 ひらひら落ちる かえでの葉 風があやつる 赤き踊り子
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太陽も早寝遅起き冬の間は人逆らわず布団沈みて
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朝昼晩返る挨拶嬉しくて ニャン猫語でもいいのこだまじゃないなら
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後悔の海に首まで浸かったら あとは静かに目を閉じるだけ
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今日はまた 失敗ばかり思い出す だからチンして さっさと眠る
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楽しみと義務は等分のほうがいい 義務ばっかりだと息が詰まるよ
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先のこと考えてる?って言われても精一杯な今におやすみ
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冬晴れの荒川の北はるかなる 筑波の山の両の頂
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名もなき公園の落葉樹に囲まれた冬の朝 百舌がひと鳴き
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同じこと清少納言が詠んでいた恋の心は世紀も超えて
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もしも世に桜が存在しないなら?もっと脳内平和裏だろうね
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夏の日の水も今は凍ってて今は春風溶かしてるとこ
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書くことは特になんにもないけれど右手にペンを持ち続けてる
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