渦のあと(三)ベルモット 赤白混ざた 夢語り 今と昔に沈むバーチェア
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渦のあと(二)久方のカウンター越し 時をはむ 溶ける氷と 一人患い
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渦のあと(一)惜し気なく記憶吸い取る盃は 匂い立つ白 垂れる暁
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心身が瓦礫のように粉々に過去を悔やみし落ちこぼれ
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在りし日の 姉と訪ねし 古里や 語らふ祖母と 冷えた西瓜と
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仰臥して全身に受く雨粒で 同化してゆく植物界に(屋外プールに行くっ)
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ミンミンとひぐらしを聞く今朝はまた空中防除夏の音なり
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豪雨来てどこに隠れし鯉の群れ水澄む頃に静かに戻り来
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半月はんげつが 文月終わり 告げており 激動の日々 明日に繋げる
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高温の夏のヤスリに削られて浮き彫りになる私の真意
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町内をお披露目めぐりのねぷた絵の目玉を指差し我が寄付分だと
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空めがけ逆上がりの子 鉄棒の上で茜の雲に染まりぬ
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早朝の 畦の草刈り清々し 汗を拭いて収穫を待つ 
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いつだって二択を外すこの癖がわたしを嫌う理由なのかな
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このところ やたら目につくワードふたつ 「キセキ」といふのと「ギフト」といふのと
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「確かに」を使いすぎたらそのうちにカニになるって ジャンケン弱そ
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五十年(超え)骨董品の伊達締め?は 母のおさがり ますます捨てづらい(汗)
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針槐(六)撫でる手が 少し震えて また握る 印をつけて 舌で撫で合う
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針槐(五)水槽が 割れた主を 映し出す 付いた紫 微笑んで見る
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魂の容れ物でしかないくせにこんなにも言うことを聞かない
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針槐(四)出来た筈 綺麗な破壊 躊躇わず 夢の中など 突然終わる
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針槐(三)大切の 形は甘い だけじゃなく 君が望めば 何処へ迄でも
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針槐(二)首に手を ゆっくりかけて 歪む君 脈と合わせて 打ち付ける愛
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山奥で 閉ざす君の忘れ物 ひぐらしの影 虚しく揺らめく
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焦げつく日 この世をよそに袖ゆらし涼しげに舞ふ熱帯魚かな
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針槐(一)約束ね 蓋した言葉秘めといて 出したら僕等戻れないから  
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帰り道 やわらかな風浴びながら 君の鼻歌の続き 口ずさむ
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見るものでなくミセルモノの目どこを見てるのあの日なにを見てたの
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明日の朝 君が出て行くこの部屋に ずーっと西日が差せばいいのに
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金夜は神仙境に暮らしたいピーチ烏龍片手にブランコ
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