半券が箱の片隅眠ってる不安な夜のお守りみたく
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保育園 六年間も 行ったのか  い立つせがれ 少し遠くに
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悲哀とは 幸福たちの 存在を  証明し得る 唯一のもの
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娘から投函頼まれ必ずと愚直に手で持つ言われた通りに
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改札の傍の 焼きたてパンの店 匂ひに見送られつ 乗り換へ
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この間、お葬式に参列した時に、セットしたアラーム。まだ残ってた。
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名残香なごりこうほお梅紅色ばいこうしょく 三月みつきの花嫁 夢にゆれつつ
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元部下と 神田駅にて 再会し ランチ富士そば 思い出の場
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老木の ひなたの桜 満開で パワーもらいし 五十二の春
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昼下がり 息子が食べる ポテトみて 笑顔で突撃 0歳の孫
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贅沢は敵か素敵か 夜明け前のぼる眉月 見て思案する
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東向き 窓ある部屋の贅沢は 明けの眉月 これに極まる
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なんとなくよからぬことを告知する看板「今夜ここを掘ります」
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どんなことしたっていいよ君だけは/割れたガラスと35円
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あちこちの開花だよりが聞こえきて 心そわそわ春はマジック
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限られた日々をカウントダウンとして儀式なるかなパンを喰(は)む朝
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もう君は髪をなくしてしまったからカメラに風がうつらない。
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聴き終えたやさしい話に作り手もきっとと思う「ゆず、香る」 /深夜便ラジオ文芸館にて
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朝からの雨もあがりてしめやかに空暮れなずみサンマが焼ける
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日々のこと「気合で乗り切る」と言う君の小さきその身にどれほどの気合い
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振袖の見知らぬ人の卒業をそっと祝える他人ひとでありたい
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タニマチの思い切なき横断幕「平常心なら 一番つよい」
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このチョコが美味しいのよという音で「中山美穂が死んだの」という君
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トボトボと朝ゆく娘の足跡を拾って今日のファイルに綴じる
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曲がり角片目の猫と鉢合わせ 強く生きなよ春は来たから
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コンクリに スマホ落として 打撲傷 大丈夫そうだが様子みる
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波がしら 引いては寄せて 泡となる 朝霧湧きて 磯小島映え
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今を生き 目の前のこと ラベリング 彼岸の入りは 春を知らせる
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梅園の 寂しあでやか 薄れ日に ねた小鳥や 春はほのかに
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列島開花 桜のはな扉が開かれてピンクのニンフが駆けめぐる 見落とさないで私も待ってる
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