物寂し 夏の終わりの遠花火 夜空の向こうに音だけ聞こゆ 
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夏空の二十日続きしが雷なりて三日続く雨めぐみとなれり
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ハモられて、悲しい 同じ音程でもっと重なり合いたかったよ
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空っぽの湯船にアヒルを浮かべては水と空気が違うと気付く
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大ちょんぼ 一律十五︵パーセント︶じゃ なくなって まえの税率プラス十五︵パーセント︶か \せめて録音くらいとっておけ
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空腹と胃痛を誤解してしまうことから硬くなった血管
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カルバンクラインをCKと略してヴィトンをルイ・ヴィトンという人
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郷愁が一色にする白黒とセピアとカラーのあった時代を
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そのゆめで 意志 よくぼう 感情に 駆られ いっしょうけんめい いきていた。ふだんと無縁の
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あの黄色の家ではみんなが眠っていて僕は86km/h、まだ着かない
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傷つきたくないから近づかない、だから僕は石のように丸くはなれない
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ノイズキャンセリングで蝉の声が死ぬ マーヴィン・ゲイが流れ始める
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私を可哀想だと言うんだ 幸せになって欲しくないだけよ
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お酒で赤い古傷を見る あなたを傷つけた全てを呪うよ
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死にたいです 天国にはポメラニアンがいっぱいいて欲しいよなー
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夏の朝鮮烈な光と一緒に消え去った明日見つからぬまま
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「ココロ」のね 角をキレイに取ったらね 「Ↄ Ↄ 〇」っていう字になるんだよ
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シャボン玉 眺めて心の角がとれ 映る世界もま〜るく見えて
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クルマを買う。それは人間の愚かさと儚さを象徴する。
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ひまわり狩りで持って帰ってきた花がテーブルを花粉まみれにする夏
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くるくるとレンジで踊るマグカップ 見つめるつむじをぼんやり見てた
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別にもう 会えなくたっていいからさ 思い出して泣いたりしてよね
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終電に 間に合うよう走ってくれた 息切れが愛だったと気づいた
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突然の雷雨に君がかけてくれた タオルで今は涙を拭いてる
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いつの日か忘れられる日は来るのかな 君の住む街君といた夏
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浴室にバケツを三個置いてある飲み水よりも流す方まで
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おやすみの声のあとから唸りだすいかづちが来る鬼のまえぶれ
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欲望が力まかせにからみつくこれはAIにはできないな/エレベーターにて
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くちびる、をひらかなで書いてみたくなる夜ですそよ風吹いてます/先輩と会う
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「飲みましょう」「会いたいですね」「素敵だよ」キミが言ってくれたらいいのに/葉月
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