あの日々が十年も前 今もなお 色濃く香る 記憶のかけら
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空越えて会いに来た吾に 「遅いよ」と 不満気に言う 君が愛しい
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霧吹きのように降る雨  さながら私はサボテン、ソテツ、ガジュマル
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シングルの 君がふたり目ご懐妊 またくる地獄 何もできない 
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012ゼロイチニ・・・ 四角と線で 区切られた 定規みたいな 我らの人生
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傘を捨て 雨に打たれて びしょ濡れに その瞬間から 世界は変わった
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神様へ 産まれる場所が日本ならパラメーターはこう振ってない
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星空や 果たして僕の人生は豊かだろうか? 眠れない夜
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園庭の砂場の山に埋もれて ため息の母 笑顔のあなた
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柔らかい 甘くて苦い 溶けるような チョコレートみたいな 恋をしてみたい
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駅前はネオンの光〈宇宙船〉 個室ヌード新居の鍵はナイフのようで
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綺麗だな もう探せない煌めきで両手からきらきら落ちてく砂つぶ
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「      」 僕らはきっと この白の 空白みたいに 空っぽ人間
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亡猫ねこの名を付けたヤモリが窓に張る餌の時間だ電気は消せぬ
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半袖じゃ午前の散歩は涼しくて温まりたく足を急がす
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君の笑み薄い氷がパリパリと軽やかに響く清らかな笑み
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報われないささくれだった心にはまろやか味噌汁ほっと一口
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走馬灯 調べてみたら 人生を そういうふうに 思い出すのか
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新たなる道 切り分ける 街と人 コミュニティーの淵 深く静かに
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境目は見えないままのほうがいい 苦しいくらいに透明な空
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風吹いて半袖シャツは肌寒し五月のある日くもりのち晴れ
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失敗は 仕方がないと 割り切って 反省プラス 次へ対策
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シーズン5 衝撃的なラストにて次のシーズン早く早くと /アストリッドとラファエル
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通販でひっそり頼んだワンピース 留守のあいだに夫が受け取り
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夕立に 降られて あなたと相合傘 雨が降るのも 悪くないかも
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ねこおやつ わがに似ているパッケージ からになっても捨てづらきなり
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朝凪に 季節の変化を 感じてる 「今日は釣れるか 釣れないかもな」
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昨日漬けたミョウガ 鮮やかなピンクいろ しばらく吾の酒のアテにせむ
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薄黄色モッコウバラがはらはらと 降り積もる降り積もれ幸せ /娘の誕生日に
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朝顔がごく丁寧に咲き誇り息をひそめてただ晴れを待つ
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