曇天の空はあまりに近すぎてクレーンの先は間もなく届く
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眠ること喋らないこと過ぎていく全ての季節を春と呼ぼうね
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安酒で酩酊しつつ聴く甘き音 それしかおれを救い出せない
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送られてゆく真夜中の国道の田んぼの上を月は走って
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ものすごい風が吹いてる手荒だが祝福なのだようこそ若葉
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あゝ鳩よ野生本能忘れたか 春の遊歩道てくてく歩く
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鯉のぼりぐっと掴めば僕だって五月の風になれるのだろか
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こすずめの 羽を震わせ エサねだる 丸い体 いとうつくし
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ボストランプ氏たれば 場所ショバ代払えと 督促す 取り引きなれど それもアメリカ
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飛行機と星の棲む夜 街灯と 誰かが私の後ろに潜む
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君にだけ届く想いを乗せたくて 祈るみたいに名前を呼んだ
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風薫る 桜枝垂れる 青葉揺れ その影長く 羽ばたき陰る 夕闇迫り 街まどろみて
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疾風は 闇夜の中を 通り行く 難民たちの 絶望の声
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新緑に良く似合う曲聴きながら歩けば満ちる初夏のキラキラ
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肉じゃない、麺でもないやと言いながら 注文多き子 肉うどん選び
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向かいの庭に揺らぎて初夏告げる白きアヤメに赤きシャクヤク
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梅雨入りや降雪もあって南北をひしひし感じる弓なりの日本くに
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懐かしの 昭和お茶の間 コント観て お腹を抱え 笑い転げる
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ゆりよりて しゃつにくちづけ しべの黄 じゅうごかいきを わすれてもうろく
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駅裏の屋台に並ぶ背広着た丸い背中にオヤジの悲哀
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他人には干渉できぬ世界観を持ちぬの子は ゐつも独りで/従妹
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藤棚の下に群れ伏す鹿たちをおぼろに照らす春日燈籠
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撫でられて とろける顔の 猫ながめ 幸せなのは この手とこの目
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宵闇に誘われ出でし浮き魂うきたまの 薔薇に囚われ明けて戻らぬ
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山の脊に 青葉茂れる 霧雨の  色濃き青葉 白銀の玉溢れ 心ときめて 夏は来ぬ
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迫り来る 風の果てには 熱地獄 殺し殺され 世の掟なり
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運あれば 風の谷間を くぐり抜け 夢の尻尾に 少し触れたき
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さまざまな波が生まれて試し書き用紙は海の絵へと近づく
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ビル群を星降るような夜空へと旅の車窓が着せ替えてゆく
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大輪の花に飛びつく蜜蜂のように素直に会いに行きたい
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