ええとそので忘れてる季語を誤魔化すこの夜はまだ寒し
6
窓開けただけで冷たいてのひらを頬にあてても 君は三度寝
6
泣いていたあの初雪の日のことも上書きせよと舞い散る綿毛
10
丁寧に淹れていまいち安い豆雑に淹れると結構うまい
8
一斉に飛び立つ蝶を見送ったのは何番目の僕の記憶?
5
メンバーに愚痴を言いたくなるけれど愚痴は弱音と思われるだけ
12
レジェロ きみの楽譜に残されたさいごの願いまで軽やかで
4
私今テンション高め何故ならば「冨永愛に似てる」と言われ
22
今はまだ 山の中腹 辺りかと 柔き顔した 師を見て思ふ
26
暑過ぎず寒過ぎぬ日の心地良き 短きものと思えばなおさら
26
このバスに乗っている客は皆が皆三島由紀夫を黙読している
7
カーテンの向こうで虫の声だけがアスファルトを濡らしている
5
バーベキュー義父とふたりで昼寝する妻子の声はとほくに聞こえ
8
真夜中に食べてもバレぬもの漁り結晶化したハチミツを食ふ
8
ねこたちは かんづめうまうま かおあらう あしたはあめかね それもあるけど
20
母の日のギフト早めに贈るわれ 早すぎて義母はあやうく旅行日(帰宅の日だった、セーフ😅)
12
春中の カヌレを齧る 沿線は ピアノと涙と 4月のかをり
4
葉は茂り 河津桜の 実はりて 卯月の風の 揺るる葉の音
22
老人会LINEへようこそ 胸躍るウェルカムスタンプどれにしようか
14
茉莉花ジャスミンが微風乗ってこの路を 君との記憶羽衣の夜
8
旅支度たびじたく 一匹ひとり減ったる 愛犬の分の らぬ荷物に 心とらわれ
20
地ビールの店を出てなお夕焼けで明日も晴れだね桜見上げて
34
躑躅だけ原色で咲く昼が過ぎちょっと手を振る色褪せぬ君
6
絶望と希望のあいの子としてはアンチノミーを生きるしかない
5
春はもう此処に在らずと知った時紫陽花の葉の緑色濃く
9
街中の向こうに見える山々はいつか知らない昔からある
5
無理してた エスプレッソは もうやめた あの時、気付いていたなら カフェオレボール
8
請はるれば爺医なれども青森へ通勤せむと緊褌一番
7
思春期の 男子にしては 健全な 外遊びだが 我は気がかり
11
ボール投げ 隣家の男子 壁跳ねて フェンスに当たる 音が気になり
10