宗教のパンフを束ね差し出す手仏頂面の不機嫌ガール
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きみの言う「優しい人になりたい」に生きる覚悟を聞いた気がする
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百均はバレンタインを通り越しもう雛あられ並び始めた
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拙くて痛い自分のことさえも許したくなる恋をしていた
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誰かへの想い以上に美しいものを知らない知りたくもない
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お風呂場のシャワーの温度上がらない外が寒いか給湯器がぼろいか
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何人と恋に落ちても この恋が最高純度、きっと一生
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我は下司げす 謝罪会見興味なし どのがなにをされたか知りたし
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飽きもせず毎日毎日〇〇くんそれが今年の私の日記
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三線さんしんの 音色優しく 魂に 語りかけくる 南国の歌
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ゆき行き降りて ただの地蔵が く駆ける 帰りの不安を 置き去りにして 
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夜明けから夜更けまで何度こわれてもおおわれててもひかりはひかり
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どんな訳 三本以上 出せぬとは 理解ができる 病院事情
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離れても必ず戻る場所がある 生きた証を重ねるように
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大学の 老いた教授が 忙しく 若い女医さん ありえん話
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世紀明け使い始めたアラジンの青い炎はあぶら断たずに
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目薬の 最後の雫 落ちる日に 診察日とは できてる話
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病院に 二人で出かけ 久々の デートみたいや ありえん話
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火曜日は 緑内障の 外来日 爺婆の 夢の競演
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真実を 食らいて骨や 肉となり 夢を食らいて 亡霊となる
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夢を見る また目が覚めて 繰り返し 死んで行くまで また繰り返し
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甘い夢 消えてなくなり また元の 苦き現実 吹きすさぶ風
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少年の聖歌とともに流したい娑婆の漂流いざさようなら
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スーパーの見切り品棚チェックして面白き材さがすは楽し
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見切り棚からみ大根百円で ぬかに漬けたらからみ凄まり
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冷蔵庫半年ついに手付かずの 冷やし中華が気になっている
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目を開き枕元には体温計 そこにいるべき君は今どこ
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思考、感情、「私」らしさを詰め込んで でも全部消してただ箱になる
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春や来い、眠気誘いし冬晴れの今日は旧暦大晦日にて
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我こそが主人公だと生きてきた だからかエンドロールが短い
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