つらいか、と 訊くだけ訊いて どうせ君は 手を差し伸べて くれないくせに
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才能が可視化される世界では生きたくないがいいねの数よ
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普通から解き放たれて今日もまた揺り戻されるあんな普通に
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散ったままあの屋上で朽ちていく 風にも舞わぬこの片想い
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The winter is burning 犯された街よ子供よ真っ当な日々よ
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固まった息苦しさをスプーンで掬って頬張る真夜中のプリン
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お財布で眠ったままの中吉がどこへも行けぬ私の暮らし
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神様は見て見ぬふりが上手いので、私も息をするように詠めます。
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ボドム湖に風が吹くとき子供らはギターを抱いて眠るその夢
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想像を逸するなどとおおげさな言葉ピースをおひとつどうぞ
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神様に時の流れを問うたならまばたき一つで返事をされし
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儚げな揺れる葉見つめ時流れ一人ぼっちの心慰め
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暖房が乾かし唇も切れて正月は早い仕事が始まる
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鏡餅大筆走り走りけり垂れる一滴広がる波紋
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マッチングアプリを伏せて母にう、したくなったらしますよ結婚
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起きて寝て、また起きてトースト食って、歯磨き、マフラー巻き、出頭す。
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夕焼けにおぼれて死んでゆく俺をお前は許さないんだろう、りさ
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御籤の言葉などすぐ記憶から落ちてくくせに、なんだ、一憂
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嗚呼暗い長い冷たい夕雪の道をゆくのか恋もせぬまま
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ふたつめのポストを過ぎて上司宛て謹賀新年に気づく じゃあ明日
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夢で逢うよりもとなりにいてほしい(ちいさな海があふれてしまう)
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過ぎてゆく ただ過ぎてゆく 毎日が 積み重なってくことすら痛い
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まえもって読む歌集(そう予習)抑揚を借りて漕ぎつけている
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うれしくてあなたに会えた夢のあとふとんの上では素直なのね
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お姫様のようなレースのブラウスが この世を生きてく勇気をくれる
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マイスリーを ウォッカのロックで 流し込む 明日はもう OD過剰摂取しかない
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駆け出した背には届かぬ指先をきゅっと丸めて仕舞うポケット
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暁の窓の無数の露にない暗い絆を求めて止まぬ
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溶け気味のラムレーズンを食べながら硝子戸叩く雪を観る吾
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初体験おせちも買わず誰れも来ず犬と分けようすき焼きの肉
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