二時前の夜のいただきスーパーと名乗るアイスを眺めてりぬ
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テセウスの船を考えた奴は何故 生きてることを許容出来たのか
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この雨のすべてが電気ブランなら躊躇わないで言えしものを
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我がこころを以てアルコールと為すべしや君のまぶたを下ろさんがため
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この胸に乙女心がよみがえる小娘みたいふるふるふると
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窓越しの冬の日あびてコーヒーをあなたと分かつ思い出一つ
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いつまでもサンタがまってる庭先で寒いでしょって僅かをともに
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会うことはないよきっとこの先もだから幸せ願っていられる
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思い出は消毒液を泳いでたエントランスの回遊魚の下
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自由が丘 発の真っ赤な 東急バス 2人で座って マフラー巻いて 
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鮭おろし北海道旅す友人の詩人は書きて懐しむかな
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裏打ちのぴりっと黒コ黒コショーがもてなしのミネストローネレポートでした
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ギターさえ 背負えないのに 僕なんか 君のなにかを 背負えるはずない
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古館柱時計が永遠刻むワルツの調べ床にありけり
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ダウンコート すり抜けるような 寒風に あたる私を 待つ母の鍋
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書店員 お客様から 受け取った 硬貨の冷たさ 実感する冬
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幽霊に なりたいそれは 死にたいと いうのではない なにでもない 私
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暑い夏今年は凄く乱高下やっぱ寒いは嫌だ死ぬかも
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君帰り枕に落ちる長い髪その一本も愛しく思い
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魂を吸いとられちゅうのようにして野焼きのはたからす動かず
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休憩の総務部長が息溜めるコアラのマーチのあけくち求め
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白っ茶けた顔の皮フぱっくり裂けて眼が現れるキスのさいちゅう
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悲しみは夜の深さに比例する「ちゃんと泣きなよ朝は来るから」
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眠りから覚めて見上げた黒板に書かれた赤い世界大戦
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一晩の雪をフロントガラスから歯垢のごとくこそげとる朝
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■■■■のお悔やみの欄(奥様の御名前)隠した黒いマーカー
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熟れきった野苺を噛みつぶすとき詩人はまさに死を読まんとす
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雪上の狐の足跡 たち消えて 宮沢賢治の世界観かよ
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うそ吐いて騙した痛み忘れても白い冬薔薇僕をみている
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あいつらも百年後にはもういないそんなやつらの話を聞くな
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